以下は、毎日jp(2013年04月17日)からの引用です。
「認知症だった呉服店経営者の女性(死亡)が、遺言書の作成を依頼した男性弁護士に5億円を超える遺産を贈与するとした遺言書は無効として、女性のめいが訴えた訴訟で、京都地裁が請求を認める判決を出していたことが分かった。
判決は今月11日付。
男性弁護士は80代で京都弁護士会に所属し、控訴する方針。
判決によると、京都・祇園で呉服商を営んでいた女性は01年、自宅で転倒したのをきっかけに入院。
体力が衰え、認知症の症状が表れた。
女性は男性弁護士に遺言書の作成を依頼。
03年に「私のいさんは後のことをすべておまかせしている弁ご士にいぞうします」などと書いた。
女性は09年に92歳で死亡。
遺産総額は3億円以上の預貯金の他、経営する会社の株式など計5億円以上で、男性弁護士に贈与された。
原告側は裁判で「遺言書作成時は認知症の症状が進んでおり無効」と主張。
これに対し、被告側は「認知症の進行は作成後で、遺言書には女性の意思が反映されている」と反論していた。
橋詰均裁判長は「会社の株式を被告に譲渡すれば、店の経営を託していた親族にも影響が及ぶのに、そのような不都合を(女性が)心配していない。女性に遺言書を作成する精神能力があったとは認められない」として認知症の影響を認定し、遺言書は無効と判断した。
赤の他人から5億円の遺贈とは、随分、豪勢な話ですね。
姪が起こした訴訟ということですので、兄弟姉妹はいたものの、既に亡くなっており、両親は勿論、子供もいなかったということになります。
配偶者は当然相続人になりますが、血族(血のつながりのある親族)の中では、第1順位の相続人は子供、第2順位は親、そのどちらもいない場合に初めて兄弟姉妹が相続人となり↓、兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子供(本人からすれば甥や姪)が代襲相続人となりますので↓
http://morikoshi-law.com/faq6-1.html
http://morikoshi-law.com/faq6-2.html
また、このような遺言書を遺したことや、夫が原告に加わっていないことからすると、夫もいなかったのでしょうね。
報道では、特に触れられてませんし、判決文にも、書かれていないのかも知れませんが、弁護士が積極的に関与していたのですから、遺言能力に問題がないのであれば、公正証書遺言を勧めるのが普通なのに、そうではなくて、自筆証書遺言(「書いた」という表現や、遺言書の文言)だったという点も、裁判官の判断に、影響を与えているように思います。
このように、せっかく最期の遺志である遺言を遺しても、自筆証書遺言には、遺言無効の危険性等がつきまといますので、やはり、公正証書遺言をお勧めします↓
http://morikoshi-law.com/yuigon.html
http://morikoshi-law.com/faq6-8.html
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ