以下は、毎日jp(2013年04月10日)からの引用です。
「周囲の住民との関わりが薄い賃貸住宅での「孤独死」が社会問題化する中、大家向けの損害保険が広がりを見せている。
部屋の原状回復費や家賃の減額分など大家の負担を賄うもので、加入する大家からは「独居の高齢者の入居が増えており、リスクを軽減できるのはありがたい」との声が上がる。
同種の保険を扱う業者が増えている。
福岡市内にアパート3棟を持つ男性(50)は昨年7月、入居者の孤独死や室内での自殺に備える損害保険に加入した。
保険料は家賃5万円以上10万円未満で1戸あたり月300円。
1年契約の掛け捨てで大家が負担する。
きっかけは4年前に起きた高齢入居者の孤独死だった。
壁紙や床板の張り替えなど清掃・改装費用は約200万円。
入居者に身寄りはなく、費用の大半を負担した。
「事故物件」として敬遠され、家賃収入にも響いた。
そんな時、入居者が死亡した場合に生じる空室期間の家賃や部屋の修復費用を補償する保険の存在を知り、「渡りに船」と加入した。
その後、30代の1人暮らしの入居者が突然死亡し、保険が適用された。
大家の男性は言う。
「悲しい話だが、単身の入居希望者を受け入れる際には保険は必要と感じた」
入居者の孤独死に対応する保険は2011年ごろから本格的に商品化された。
孤独死が社会問題化したことに加え、空き部屋の増加によって大家がこれまで入居を断ってきた高齢者を受け入れ始めたことが背景にある。
一般社団法人・日本少額短期保険協会(東京都中央区)によると、同種の保険を扱う業者は年々増加し、現在は約10社。
協会の担当者は「掛け金が安く保険期間が短いのも好評の理由」と説明する。
福岡市の男性が入った保険「無縁社会のお守り」は、アイアル少額短期保険(東京都中央区)が11年8月に発売した。
現在の契約戸数は約4000で前年から倍増。
エース損害保険(目黒区)は、入居者の自殺・孤独死で管理業者が大家に支払う見舞金を補償する。
一方、メモリード・ライフ(文京区)は60歳を超えた生活保護受給者らが入居する場合、本人の同意を得て入居者に生命保険を掛けている。
一定の保険金が大家や管理業者に支払われる仕組みだ。
遺品整理を専門とするキーパーズ(大田区)の吉田太一社長(48)は「整理の依頼を年1600件受けているが8割は賃貸住宅。高齢化や非婚化で賃貸のニーズが高まり、大家の経営上の危機管理として保険が求められているのでは」と話している。」
色々な業者が、保険を取り扱うようになったのですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/272795477.html
入居者が孤独死してしまったアパートの大家さんから依頼を受けた事件が、ようやく終了するところです。
相続人の調査から始まり、相続人全員に、任意に明け渡すことを求めたものの、誰からも協力が得られず、建物明渡しと家賃等の支払いを求める裁判を起こし、判決に基づき明渡しの強制執行、そして、発見された現金を執行官が供託した供託金の債権差押(発見された現金そのものを受け取ることもできたのですが、大家さんが嫌がったので)等々、丸1年以上の期間を要しました。
もう少し簡易な手続でも良いのではないかと、アドバイスもしたのですが、大家さんが生真面目な方だったので、まさにフルコースで、強制執行のための予納金等、実費だけでも、優に50万円以上かかりました。
アパート自体は、取り壊し予定だったので、家賃収入云々という問題は生じなかったのですが、今後も賃貸予定ということであれば、更に膨大な被害になるところでした。
なお、単に孤独死があったというだけでは、必ずしも告知義務が生じる訳ではないものの、自殺は勿論、自然死や病死であっても、死後、相当の期間を経て発見され、腐敗臭等の問題を生じさせた場合には、告知義務を負うというのが、一般的な考え方だそうですので、殆どの場合、告知義務が生じるのではないかと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ