以下は、毎日jp(2013年04月08日)からの引用です。
「NHKの受信料滞納の時効を巡る訴訟で、時効5年の「家賃」並みにすべきか、10年の「個人間の借金」と同様にするかで、司法の判断が割れている。
NHKによると、同種訴訟で2月までに出た確定判決は8件。
このうち5件が10年(いずれも簡易裁判所)で、3件は5年(いずれも高裁)だった。
上級審は家賃派の5年だが、NHKは、すべての未払い分を取り立てていく方針を崩していない。
民法は「個人間の借金」など一般的な債権の時効を10年と規定する一方、地代や家賃は5年、旅館や飲食店の料金は1年など、債権の種類によって短い期間での時効(短期消滅時効)を認めている。
NHKによると、受信料の長期未収(約1年以上)は2011年度末で約177万件。
滞納者らに支払いを求めた訴訟で、短期の時効が適用されるかどうかが争点になった判決は全国で23件あり、8件が確定した(2月27日現在)。
1審の簡易裁判所の判決が確定した5件は、NHK側の主張通り、短期の時効は適用されなかった。
しかし、2審の地裁を経て上告審の高裁まで争ったケースは、昨年2月と同11月の東京▽同12月の札幌の各高裁の3件で「5年」が適用。受信料は定期的に支払う家賃と同じ性質の債権と判断された。
NHKによると、06年以降、滞納者に対し、裁判所を通じた督促を開始。
異議を申し立てた滞納者との間で1400件以上が訴訟になった。
NHKは「公平負担の徹底の観点から、未払いの全期間分を請求するのが基本。時効については各地の裁判所で係争中で、動向を見極めて対応を検討する」としている。」
簡裁の裁判官が、全員10年と判断しているというは、ちょっと理解に苦しみますが↓、滞納者側が、充分な主張・立証をしなかったに過ぎないのではないでしょうか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/303645422.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/312631147.html
通常の民事訴訟では、弁論主義(裁判に必要な事実に関する資料の収集は当事者の権能かつ責任であるとする原則)が採られており、例えば、明らかに消滅時効期間が経過した債権に関する裁判であっても、債務者側が、裁判所に出頭せず、消滅時効の抗弁を主張しなければ、そのまま支払を命ずる判決が言い渡され、その後10年間は、消滅時効にかからなくなってしまいますので。
NHKのホームページ↓の下部の「お知らせ」欄を見ると、 「放送受信料の未収者に対する強制執行の申し立て」だの、「放送受信契約の未契約世帯に対する民事訴訟の提起」だの、凄いことになってます。
http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/
裁判になると、NHKも引くに引けないようですが、費用対効果を考えると、その前段階では、ある程度柔軟な対応をすると思いますので、5年分で手打ちするのが無難ではないかと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ