以下は、朝日新聞デジタル(2013年4月4日)からの引用です。
「独自に導入した臨時特例企業税をめぐる訴訟で、最高裁で敗訴して計635億円を企業側に返還する神奈川県が、弁護士報酬も計3億5700万円支払っていたことが分かった。
県は「勝つために有能な弁護士に頼んだので高額になった」と釈明する。
訴訟では、いすゞ自動車が納めた企業税19億8千万円の返還を求められた。
県の内規では弁護士費用は一審で258万円が上限。最高裁まで争うと単純計算で774万円になるが、その約46倍の報酬を払った。
県は「いすゞも一流の弁護士をそろえたため、有能な弁護士で対抗せざるを得なかった」といい、訴訟の勝敗にかかわらず、高額の報酬を払う随意契約を結んだという。」
最高裁判決については↓ですが、訴訟の勝敗にかかわらず、弁護士報酬が3億5700万円とは、随分、豪勢な話ですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/350671369.html
弁護士の報酬は高すぎても安すぎても駄目、という旧弁護士報酬基準は、とうの昔に廃止されていますが↓、これによると、いすゞ自動車からの請求19億8000万円の訴訟事件の場合、着手金が4300万円余り、成功報酬がその倍の8600万円余りということになります。
http://morikoshi-law.com/bengosihiyou.html
神奈川県側が敗訴すれば、いすゞ自動車に対してだけではなく、全ての企業に税金を返還しなければならないというのはわかりますが、相手方であるいすゞ自動車側の代理人弁護士は、いすゞ自動車の分を、いすゞ自動車から貰うだけで、仕事をしている訳ですから、神奈川県側が、それを超えて、全企業分を報酬の対象とするのは、いかがなものかという気がします。
しかも、仮に全企業分635億円を前提としても、旧報酬基準によれば、着手金は1億2700万円余り、それでも、もの凄い金額なのですが…。
本当に大切なのは、報酬の安さではなく、中身だとは思いますが↓、お金を積みさえすれば、黒いものが白く変わる訳ではありません。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/352895231.html
県の内規の約46倍もの報酬とのことですので、今度は、住民訴訟でしょうかね。
こういうのは、法曹需要の拡大と呼べる代物ではなく、単に、自由化の弊害だと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ