2013年04月02日

司法試験:「新目標なし」に異論 合格3000人撤回、「肩すかし」の声−−検討会議


以下は、毎日jp(2013年03月28日)からの引用です。

「法曹志願者の減少や司法試験合格者の低迷などの問題を議論する「法曹養成制度検討会議」が27日、法務省で開かれた。

司法試験の年間合格者を「3000人程度」とした政府目標を撤回し、新たな目標は設けないとする中間取りまとめ案に対し、委員から「国民は肩すかしをくった印象を受ける」などといった異論が相次いだ。

検討会議は今回の意見も踏まえ、4月9日の次回会合に修正案を提示して議論を詰め、取りまとめを完了する予定。

中間案は、年間合格者数を「10年ごろまでに3000人程度に増やす」と02年に閣議決定した目標を撤回した。

国の見通しの甘さを認める形となり、法曹関係者からは「国の方針に期待して法科大学院に通ったものの、法曹資格を得られなかった志願者からすれば国家的詐欺に遭ったも同然」との厳しい指摘も出ている。

この日の検討会議では、新目標を定めるべきだとの意見が目立った。

元読売新聞論説副委員長の久保潔委員は「3000人を取り下げるだけでは、国民は肩すかしをくったような印象を受ける。新たな方向性を示すべきではないか」と述べた。

また、小松製作所特別顧問の萩原敏孝委員は、年間合格者2000人前後でも、就職が難しい現状を踏まえ「2000人から削減した人数からスタートすることを示し、国民の意見を募るべきだ」と発言した。

これに対し「数値目標を設けても、(合否判定をする)司法試験委員会を縛ることはできない」との反論も示された。

一方で、法曹人口拡大に向けて、実現性のある制度設計の道筋を示すよう求める意見もあった。

北海道大公共政策大学院長の宮脇淳委員は「同じことを繰り返しても失われた10年になるだけ。検討結果を具体化する制度設計のための仕組みを盛り込むべきだ」と述べた。

連合事務局長の南雲弘行委員は「法曹志望者にとって、将来の不安を払拭(ふっしょく)するメッセージとなるような取りまとめにすべきだ」と発言した。」




続いて、以下は、その前日の朝日新聞デジタル(2013年3月27日)からの引用です。

司法試験3000人計画を撤廃 政府検討会議、座長案

「弁護士ら法律家の数や法科大学院のあり方を議論している政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅学習院大教授)が26日、座長私案をまとめた。

司法試験の合格者数を「年間3千人程度」とした2002年の政府計画を撤廃し、司法試験の合格率が低い法科大学院への支援をさらに減らす内容だ。

検討会議はこれをもとに来月、見直しの原案をとりまとめ、7月に法相や文部科学相らでつくる法曹養成制度関係閣僚会議に提言する。

司法制度改革は社会に「法の支配」を行き渡らせることを目指したが、その象徴だった「法曹3千人計画」の旗印が降ろされることになりそうだ。

座長私案は、法律家を引き続き増やす必要性は変わらないとしたが、(1)法科大学院修了者を対象とした新司法試験の合格者が年2千人前後、合格率は2割台に低迷している(2)民事裁判の件数はあまり増えておらず、弁護士が活躍する新たな分野も限定的(3)弁護士が就職難に陥っている――といった問題点を指摘。

「3千人程度という目標を掲げることは現実性を欠く」とした。

新たな数値目標は設けなかった。

法科大学院については、「修了者の7〜8割が司法試験に合格する」という当初の想定は維持した半面、「教育力に比べて定員が過大な大学院が相当数ある」として、統廃合や定員数の削減を盛り込んだ。

ただ、何校が適正かや具体的な定員数には触れなかった。

合格率が低迷している大学院に対しては、すでに文科省が補助金を削減しているが、74校のうち撤退を表明したのは6校にとどまる。

私案は、統廃合をさらに促すため補助金を減らし、現役の裁判官や検察官の教員としての派遣も打ち切るべきだとした。

一方で、地域バランスや社会人らが仕事を続けながら法律家になる道を閉ざさないよう、地方や夜間の大学院には一定の配慮が必要としている。

新司法試験は「5年以内に3回まで」の受験制限があるが、5回まで認めることも検討する。」




法曹養成制度検討会議の中間的取りまとめ(案)は↓
http://www.moj.go.jp/content/000109442.pdf

法曹養成制度検討会議そのものは↓ですが、頻回に、喧々諤々の議論がなされている様子がわかります。
http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00001.html

個人的には、中間的取りまとめ(案)と並んで掲載されている和田吉弘委員の補足的意見↓が、実に正論だと思うのですが、それは、同じ弁護士だからでしょうか。
http://www.moj.go.jp/content/000109444.pdf

4月9日の取りまとめを経て、パプリック・コメントを実施した上で、最終案の検討・取りまとめをするとのことですが、札幌弁護士会では、以下のとおりの決議が可決成立しています↓
http://satsuben.or.jp/info/statement/2012/res02.html

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック