2013年03月27日

過払い返還、密約で減額 債務者が知らぬ間に 消費者金融と法律事務所


以下は、朝日新聞デジタル(2013年03月24日)からの引用です。

「消費者金融業者に払い過ぎた借金の利息を取り戻す「過払い金返還請求」をめぐり、業者が、請求を代行する法律事務所と手を結び、債務者の一部に不利益となる協定を秘密裏に交わす例があることがわかった。

返還額を減らして手早く和解する内容で、業者のメリットは大きく、法律事務所も多くの依頼を処理できる。

その一方で、債務者は知らないまま、返還額を減らされている。

朝日新聞は、全国展開する消費者金融業者の内部資料を入手した。

それによると、協定は「包括和解」などと呼ばれ、相手先には、過払い金の返還請求を主に扱う大都市圏の弁護士や司法書士の法律事務所などの名前が20ほど並んでいる。

法律事務所などは多数の債務者から相談を受けるが、返済した合計額から正しい金利で計算した借金を引いた結果、(1)まだ借金が残る人(2)借金は完済し、業者から過払い金を取り戻せる人――に二分される。

協定は、(1)には借金の金利免除や分割での返済を認める一方、(2)には本来の返還額の9〜5割をカットし、(1)(2)についてこの業者と一括で和解する。

法律事務所などに今後依頼する債務者にも適用される。

和解は、それぞれの債務者の事情や要望に応じて個別に判断するのが本来のあり方だ。

協定により、法律事務所は1件あたりの手間が減り、短期間に大量の依頼を処理できるため手数料を稼げる。

業者も返還の支出を減らせ、双方にメリットがある。

だが、(2)の返還請求ができる人には不利益しかなく、協定を知らないまま返還額を減らされているのが実態だ。

この業者の元幹部ら複数の関係者は取材に対し、内部資料に記された協定の存在を認めたうえで、「返還の支払いを減らすことが目的だ。『交渉の結果、取り戻せるのはこれだけ』と法律事務所に言わせれば、債務者はあきらめて和解する」と打ち明ける。

各地の法律事務所などに協定を働きかけるのは日常的だという。

消費者金融に関する相談を数多く手がける三上理(おさむ)弁護士(東京弁護士会)は「手早く和解するという法律事務所の利益のために、過払い金を請求できる人の権利が損なわれている。協定を結んだ弁護士や司法書士には、職務倫理上の問題がある」と指摘。

弁護士職務基本規程などに触れるおそれもあるという。

この業者は取材に「和解は個別に行っている。ご指摘のような協定はない」と回答。

資料に名前のあった法律事務所などのうち十数カ所にも取材を申し込んだが、いずれも「お答えすることはない」などと拒否した。

■背景に経営難、正当化できぬ

<消費者金融問題に詳しい池尾和人・慶応大学教授(金融論)の話>

2006年の貸金業法改正でグレーゾーン金利の廃止や総量規制が導入され、各業者の利益率が低迷。

さらに過払い金の返還が追い打ちとなり、経営を圧迫している。

業者が返還の支出を減らそうと協定を持ちかけているとすれば、背景には経営難があるのだろう。

ただ、法改正前は各業者とも、返せないほどの金を貸し付けて多重債務者を生むなど不健全に肥大化した。

今の経営難はその反動であって、返還の減額を正当化するものではない。

■協定、業者が持ちかけ 断られると嫌がらせも

業者から、協定を持ちかけられたと証言する法律事務所などは少なくない。

「5割減で和解なら半年後、8割減なら2カ月後に一括で返還金を払う。代わりに、うちへの返済が続く人には対応を検討します」――。

東海地方の司法書士事務所は昨年、大手業者の担当者からこんな申し入れを受けた。

「債務者の意向を無視することになる」と断ると、業者は債務者に直接電話をかけ、「司法書士の報酬は高すぎないか」などと嫌がらせをしてきたという。

関西地方の司法書士事務所にもここ数年、複数の大手業者から協定の申し入れが相次いだ。

担当者はしきりに「ほかの事務所は結んでいる」と説得してきた。

「5割しか戻らない」と別の法律事務所で言われ、頼ってきた債務者もいた。

これらの事例について各業者に取材したところ、複数の大手業者は、法律事務所との交渉に際し「減額をお願いする中で、具体的な割合や数字を『目安』として示すことはある」と回答。

しかし「提案は和解内容を拘束するものでなく、交渉は個別にしている」

「和解交渉は個別の事情、意向に応じて行う」として、協定の存在を否定している。

◆キーワード

<過払い金返還請求>

多重債務者が社会問題化するなか、最高裁は2006年1月の判決で、利息制限法の上限(年15〜20%)を超える金利での貸し付けを原則無効と判断。

同年末には、出資法の上限(年29.2%)までの「グレーゾーン金利」の廃止が決まった。

返済してきた合計額が、利息制限法で計算し直した借金額を超えた場合は「過払い」となり、法律事務所などを通じて返還請求する債務者が急増した。 」




今更の感がありますが、確かに、業者から、「協定を結ばないか」と持ち掛けられたことは、何度もあります。

勿論、全てお断りしましたが、だからと言って、債務者に直接電話をかけるなどの嫌がらせを受けたことはありません。

そんなことがあれば、過払金返還請求だけでなく、損害賠償も請求することになるのですが。

どんな事件でも、一見、報酬が安くて、得のように思えても、解決水準が低ければ、結局、損をすることになります↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/287841541.html

弁護士に事件を依頼することは、人生の中で何度もあることではないと思いますし、人生に大きな影響を与えることも少なくないと思いますので、本当に大切なのは、報酬の安さではなく、中身だと思うのですが。

私自身は、例えば、過払金返還請求や分割弁済などの債務整理であれば、利息制限法に従って再計算した結果と、解決額の双方を、依頼者に説明していますし↓、他の事件でも、充分な説明を心掛けているつもりです。
http://morikoshi-law.com/solution.html

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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