以下は、毎日jp(2013年03月21日)からの引用です。
「成年後見人が付くと選挙権を失う公職選挙法の規定を違憲と判断した14日の東京地裁判決をめぐり、控訴すべきか政府・与党の見解が割れている。
同様の訴訟がさいたま、京都、札幌各地裁で係争中のため政府内では控訴論が根強いが、与党は公選法改正の必要性で一致している。
控訴期限は28日で、安倍晋三首相の政治判断に持ち込まれる可能性も出てきた。
東京地裁判決の骨格は、選挙権の制限には「やむを得ない事由」が必要だが、成年被後見人が総じて選挙権の行使能力を欠くわけではなく、一律に選挙権を奪うことがやむを得ないとはいえない−−というもの。
昨年の衆院選公約で成年被後見人への選挙権付与を掲げた公明党は判決をいち早く評価した。
山口那津男代表は19日の記者会見で「極めて重い。控訴するかどうかは政府側で検討すべきだが、選挙制度は立法府の課題であり、議員立法の道も探る」と踏み込んだ。
同党は6月の東京都議選前の法改正を自民党に働きかける構えだ。
自民党も公明党の主張に理解を示すが、選挙権を付与する場合、約13万6000人(最高裁調べ)とされる成年被後見人をどこで線引きするか、不正投票防止策をどう講じるかなどの難問があり、早期の法改正には慎重だ。
高市早苗政調会長は21日の会見で、「来週、与党政策責任者会議で詰める。それまでに党内の意見をすり合わせたい」と述べるにとどめた。
一方、政府は法律論と当事者救済の間で苦慮している。
谷垣禎一法相は19日の会見で「当事者の地位を安定させるために早く訴訟を確定させた方がいいという議論は常にある」と認めつつ、「下級審がたくさんある。(上級審で)判例が統一されれば混乱はない」とも指摘した。
成年後見制度は法務、総務両省を中心に作られた経緯があり、政府内には、簡単に控訴を断念できないという「官の論理」も見え隠れする。
ただ、首相周辺が「判決は妥当な内容で、控訴しても勝ち目はない。人道的にも問題だろう」と語るように、政治決着を模索する動きも出ている。
◇成年後見制度に関する東京地裁判決への主な見解
<政府>
・判例の統一と当事者の地位安定という両方の問題がある(谷垣禎一法相)
・国の主張が認められなかった。法務省と対応を協議する(新藤義孝総務相)
・継続中の訴訟の動向も見据えて対応している(菅義偉官房長官)
<与党>
・与党政策責任者会議までに党内の意見をすり合わせたい(自民党・高市早苗政調会長)
・違憲判断は極めて重い。与党として議員立法の道を探る(公明党・山口那津男代表)
法律を改正するということなので、当然、控訴はしないものと思っていましたが↓、色々と、大人の事情があるのですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/347596430.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/349233913.html
でもって、安倍首相のご英断という筋書きでしょうか。
そもそも、線引きをする必要はないと思いますし、現実問題としても、成年被後見人の状態は刻々と変化するので、線引きなど不可能だと思います。
判断能力がない人は選挙に行かないだけの話で、敢えて憲法で保障された選挙権を「剥奪」する理由にはならないように思いますし、不正投票の問題も、別に成年被後見人に限ったことではないと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ