以下は、MSN産経ニュース(2013.3.21)からの引用です。
「法律が過去の企業赤字の課税を減免しているのに、法律より下位の条例が赤字相当額に課税したのは適法か、違法か−。
そんな争点が審理された行政訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は21日、神奈川県が独自制定した臨時特例企業税条例は適法とした東京高裁判決を破棄し、同条例は地方税法に違反し無効として、原告のいすゞ自動車が納税した約19億円と還付加算金などの支払いを県に命じた。
自治体の法定外税をめぐり最高裁が違法・無効と判断するのは初とみられる。
大阪府泉佐野市が30日から関西国際空港と市を結ぶ空港連絡橋利用税を導入するなど景気低迷で税収不足にあえぐ自治体が知恵を絞って法定外税を独自制定する動きがあるが、最高裁は自治体に対し法律との整合性の順守を厳しく要求した形になる。
神奈川県は税収安定化に向け、資本金や売上金を基準に課税額を定める外形標準課税の導入までの臨時措置として平成13年、資本金5億円以上の企業を対象に企業税を導入。
地方税法は過去5年間に赤字がある場合、欠損金として繰り越すことで法人事業税を減免していたが、企業税は欠損金相当額に課税。
企業税が地方税法に違反するかどうかが争点だった。
県は21年3月の条例失効までに約1700法人から計約480億円を徴収。
いすゞ側は15〜16年度の納税額と還付加算金などの支払いを求めていた。
20年3月の1審横浜地裁判決は「企業税の課税は欠損金繰り越し控除を定めた地方税法の趣旨に反し違法」といすゞ側の訴えを認め、県側に全額支払いを命じた。
2審東京高裁(22年2月)は「企業税は欠損金の繰り越し控除をする前の所得に課税するもので、法人事業税とは別の税目として併存し得る」と判断。
1審判決を取り消し、県側逆転勝訴を宣告。
いすゞ側が上告していた。」
早速、裁判所のホームページに掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83087&hanreiKbn=02
租税法律主義(憲法30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」、同法84条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」)という大原則があるからです。
納税よりも更に重大な効果のある刑罰に関しても、当然、罪刑法定主義(同法31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」)という大原則がありますので、条例で規制するということで良いのだろうかと思うことも少なくありませんが、余り議論は深まらないですね。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ