以下は、MSN産経ニュース(2013.3.4)からの引用です。
「カジノの負債返済などに充てるため大王製紙の子会社から計55億3千万円を借り入れ、損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪に問われた前会長、井川意高(もとたか)被告(48)の弁護人は4日、1審の東京地裁に続き懲役4年の実刑とした東京高裁判決を不服として、最高裁に上告した。
高裁は2月28日の控訴審判決で、「子会社への支配的地位を乱用し、犯行態様は悪質」とし実刑をやむを得ないと結論付けていた。
1、2審判決によると、井川被告は平成23年3〜9月、大王製紙の子会社7社から計55億3千万円を本人名義などの銀行口座に入金させ、損害を与えた。」
私が、司法修習生の時に、刑事裁判の修習で裁判官から聞いた話では、財産犯の場合、前科がなくても、被害額が300万円以上であれば、原則実刑というのが、1つの目安とのことでした。
ただ、本件の場合、損害額は巨額なものの、全額被害弁償しているようなので、必ずしも実刑が当然とは言えないかも知れませんが、1審の懲役4年という判決が、検察官の求刑(懲役6年)と比較して随分と軽いのは、被害弁償を考慮してのことだと思います。
執行猶予が付けられるのは、懲役3年までですので、検察官の求刑は、「絶対実刑」というメッセージだったと思いますし、個人的にも、会社のお金を何十億円もカジノに注ぎ込んでおいて、「全額弁償したんだから、刑務所に行かなくても良いでしょ」という訳には行かないのではないかと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ