以下は、YOMIURI ONLINE(2013年2月9日)からの引用です。
「政府は8日、東京電力福島第一原子力発電所事故の損害賠償について、民法上の時効(3年)にかかわらず、被災者が損害賠償を請求できる権利を保護することを明記した特例法案を今国会に提出する方針を固めた。
同事故を巡る和解手続きは、申請件数に対して事務処理が追いついていない事情もあり、特例法案によって、被災者に安心感を与える狙いもある。
法案は、政府の原子力損害賠償紛争審査会の下部組織である「原子力損害賠償紛争解決センター」で東電と被災者との裁判外紛争解決手続きが不調に終わった場合、その時点で民法上の時効を過ぎていても一定期間は裁判所に提訴する猶予を与えるという内容になる見通しだ。
民法では、事故などの不法行為による被害者には損害賠償を請求する権利が生じる。
損害が分かってから3年間、権利を行使せず、当事者が裁判所に主張すれば時効が成立し、権利は失われる。
この間に裁判所に提訴すれば時効は中断するが、同センターと被災者との間の手続きでは、この仕組みが適用されないため、福島第一原発事故の場合、最短で2014年3月に時効を迎える事例が出てくると想定されている。」
東京電力は、「消滅時効の主張はしない」とコメントしているものの、民法146 条は「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と定めており、コメントだけで安心することはできませんので、これはこれで良いことだと思います。
ただ、この報道の内容通りだとすると、調停と同様に、時効期間が一定期間延長されるだけで、不法行為の時から20年を経過したときは損害賠償請求権は消滅するという、除斥期間の適用は排除されないということになりますね。
何十年先にどのような影響が起きるかわからない放射能問題なのに、これでは全然安心できないと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ