以下は、朝日新聞デジタル(2013年2月8日)からの引用です。
「大阪地裁の裁判官が昨年夏、電車内で盗撮事件を起こした。
それから5カ月たったが、今も身分は裁判官。
どうしてなのか。
●今も毎月給与、そのたび返納
大阪地裁の華井(はない)俊樹判事補(28)が、電車内で女性のスカートの中に携帯電話を差し入れ、動画を盗撮したとして現行犯逮捕されたのは昨年8月29日。
容疑を認めたため、9月10日に大阪府迷惑行為防止条例違反の罪で略式起訴され、罰金50万円の略式命令が出た。
華井判事補は退官願を提出。
一般の公務員なら懲戒免職になりそうなものだが、今も肩書は裁判官のままで、自宅待機が続いている。
最高裁は華井判事補に毎月、給与を振り込んでは自主返納させる手続きを繰り返している。
●厚い身分保障、免職にも手間
司法の独立を守るため、裁判官の身分は、普通の公務員よりも手厚く守られている。
憲法の規定から、「裁判官弾劾(だんがい)裁判」という特別な裁判で罷免(ひめん)の判決が出なければクビにできない制度になっているのだ。
裁判官弾劾制度に詳しい土屋孝次・近畿大法学部教授(憲法)は「裁判官は、政権に不利な判決や、多くの国民に不人気な判決を書かなければならないことがある。そのためには手厚い身分保障が必要で、免職に一定の手間がかかるのはやむを得ない」と語る。
弾劾裁判は、国会が設ける「裁判官弾劾裁判所」で開かれる。
通常の刑事裁判と同じように審理は公開されるが、検察官役、裁判官役とも国会議員が務める。
華井判事補については、罰金命令が出た直後に、最高裁が「裁判官の威信を著しく失う非行にあたる」として国会の「裁判官訴追委員会」に弾劾裁判を請求。
衆参各10人の議員でつくる同委員会は11月13日、弾劾裁判にかけることを決めた。
だが、その3日後に衆院が解散され、手続きはストップ。
12月の衆院選後、弾劾裁判所の裁判官役を務める衆参各7人のメンバーを選び直すなどしているうちに、年が明けた。
「初公判」は3月になる見通しで、判決は4月以降とみられている。
初公判では刑事裁判と同様、名前の確認、黙秘権の告知、裁判にかけられた行為についての認否などがある。最後は「罷免」するかしないかの判決が言い渡される。
ただ、最高裁まで争える普通の裁判と違い、判決は宣告と同時に確定し、不服申し立てはできない。罷免なら法曹資格を失い、退職金も支給されない。
●罷免されれば、史上7人目に
華井判事補が罷免となれば、裁判官として史上7人目となる。
司法の独立を守るための弾劾裁判のはずだが、平成に入ってから審理されたのは、児童買春、ストーカーの不祥事。
最高裁関係者は「仕事上のストレスは言い訳にならない。再発防止といっても、いったいどんな対策をとればいいのか」と頭を抱えている。
土屋教授は、「裁判官は選挙で信任を受けておらず、モラルの低下は、『国民の信頼』のみに依拠する裁判所としては致命的だ。裁判所自身による検証と自浄の努力が必要だ」と指摘する。
国会近くの弾劾裁判所。
一般用の傍聴席は38席あり、日程が決まり次第、傍聴希望者をはがきやメールで募集する方向で準備中という。
希望者が多ければ抽選となる。」
とっくに罷免になっていたと思っていましたが、まだだったんですね。
制度の詳細は、弾劾裁判所の公式ホームページ↓に掲載されていますが、こちらは、退官願を提出し、振り込まれた給料は自主的に返納しているということですので、まあ納得できます。
http://www.dangai.go.jp/
しかし、続いて、以下は、同じく朝日新聞デジタル(2013年02月03日)からの引用です。
無免許運転の広島県議のリコール成立 3日付で解職
「道路交通法違反(無免許運転)で有罪が確定した正木篤(まさきあつし)・広島県議(62)=広島市安佐北区選出=の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が3日あり、開票の結果、賛成が有効投票数の半数を超え、リコールが成立した。
正木氏は3日付で解職が決まった。
総務省は「把握している限り、都道府県議のリコール成立例は過去にない」としている。
投票率は39・30%。
有効投票数4万7781票のうち、解職に賛成が4万5812票、反対が1969票だった。
正木氏は元マツダ社員。
2003年に免許取り消し処分を受けたが、11年4月に無所属で初当選した後の同6月、安佐北区の市道で乗用車を運転した容疑で現行犯逮捕され、同9月に広島地裁で懲役8カ月執行猶予3年の判決を受けた。
県議会は辞職勧告を2回決議したが、正木氏は拒否していた。
リコール運動を進めてきた住民有志の会代表の梅田千秋さん(74)は3日夜、「一安心した。区民の名誉を回復できた」と話した。」
こちらも、とっくに辞めたものと思っていましたが、リコール(解職請求)でやっと解職ですか。
議員報酬欲しさということでしょうか。
教員の早期退職どころの話ではありませんね。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ