2013年01月16日

薬ネット販売、国の敗訴確定=規制省令「違法で無効」−全面解禁に・最高裁


以下は、時事ドットコム(2013/01/11)からの引用です。

「厚生労働省が省令で市販薬のインターネット販売を規制したのは違法だとして、販売会社が国にネット販売をする権利の確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は11日、「省令は薬事法の趣旨に適合せず、違法で無効」と判断し、販売の権利を認めた二審判決を支持し、国側の上告を棄却した。

国の敗訴が確定し、ネット販売は事実上、全面解禁される。

ただ、判決はネット規制そのものを違法とはしておらず、国は今後、改めて薬事法改正などによる規制を検討する。

原告は「ケンコーコム」(東京都)と「ウェルネット」(横浜市)。

両社は、2009年6月の改正薬事法施行時に、一部を除き市販薬のインターネット販売を禁止した省令を国が定めたのは、憲法の保障する営業の自由を侵害するなどとして提訴した。」




早速、裁判所のホームページに掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82895&hanreiKbn=02

行政手続法38条1項は、「命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。」と定めています。

要は、国会よりも下位の機関は、勝手に、国会が定めた法律の趣旨に適合しないような規制をしては駄目よ、というあたり前の話ですが、最高裁は、国会が定める法律そのもので規制することまでを否定した訳ではないので、政府としては、あくまでもネット販売を規制するつもりのようです。




という訳で、以下は、MSN産経ニュース(2013.1.11)からの引用です。

政府、市販薬ネット販売規制へ薬事法改正 最高裁の省令違法判決見通しに対応

「政府は10日、副作用の危険性が高い一般用医薬品(市販薬)のネット販売を規制するための薬事法改正を、28日召集の通常国会で行う方針を固めた。

与党と調整のうえ、販売規制を盛り込んだ改正案を議員立法で早期に成立させる。

販売規制をめぐっては、薬事法に明記されていないのに厚生労働省令でネット販売を規制している現状を違法とした2審判決を支持する最高裁判決が、11日に下される見通しだ。

田村憲久厚労相ら政府高官は今年に入り、最高裁判決後の対応を協議。

自民党が先の衆院選公約とともに示した「総合政策集」で薬のネット販売について「安全優先の観点から安易な規制緩和は行わない」と明記していることから、最高裁判決を尊重しつつも規制を続ける方向で一致した。

政府は、薬剤師による対面説明を通じた安全確保を優先するため、省令を撤回した上で同様の規制を薬事法に盛り込む。

ただ、内閣が行う法改正には内閣法制局での審査などに3カ月程度かかるため「国民の安全確保が後手に回る」(同省幹部)と判断。

こうした手続きが不要で迅速にできる議員立法による改正を目指すことにした。

また、今回の判決はネット販売2業者のみが国を相手取って販売権利の確認を求めている事案であることから、政府は「省令は2業者のみに無効となるが、ほかの業者には効力が及ぶ」との立場を取る方針。

同時にネット販売の規制を緩和した場合の副作用リスクなどの危険性について、省内で検討を進める考えだ。

裁判は販売を規制する省令は違法として「ケンコーコム」(東京都港区)など2社が平成21年5月、国を相手取り販売権利の確認を求める訴えを起こした。

22年3月の1審東京地裁判決は「規制は医薬品の適切な使用を確保する。副作用の被害を防止する手段として合理性が認められる」と判断し、訴えを退けた。

ところが、24年4月の2審東京高裁判決では薬事法にネット販売禁止が明示されておらず、同法がネット販売の一律禁止まで省令に委ねていないと判断。

規制を違法と結論づけたため、国が上告した。

最高裁が2審の結論変更を見直すときに必要な弁論を開かないため、国側敗訴の2審判決が確定する見込み。

規制を続ける方向の法改正には、緩和を強く求めてきたネット販売業者らの反発が予想される。」




個人的には、市販薬は余り効果がないように感じますが、ネット販売が認められるようになれば、一般の商品と同様に、価格競争が進むようには思います。

さて、どうなることでしょうか。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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