以下は、YOMIURI ONLINE(2013年1月4日)からの引用です。
「暴力団の有力傘下団体が、全国の裁判所の競売で少なくとも32か所のビルなどを入手し、組事務所にしていたことが、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会(民暴委)などへの取材で分かった。
競売の入札参加規定に暴力団排除条項がないためで、組長本人が落札したケースも11か所判明。
民暴委は競売に同条項を設けるため、民事執行法の改正を求める方針だ。
暴力団の不動産取引は、主に都道府県の暴力団排除条例で禁じられており、民暴委によると、43都道府県では条例により、組事務所として使用することを知りながら不動産を譲渡することはできない。
しかし、裁判所が主催する競売は暴排条項がなく、組員や組幹部が自由に入札に参加することが可能になっている。
民暴委などによると、北海道、千葉、神奈川、岐阜、京都、大阪、広島、長崎の8道府県で1985年以降、計32か所の組事務所が競売で取得されていた。
このうち北海道、岐阜、大阪、広島、長崎の5道府県・11か所では、稲川会、山口組、共政会系の組長の名前で堂々と落札していた。
捜査関係者によると、ある山口組の2次団体組長は警察当局に「山口組では数年前から、合法的に事務所を構えるために競売参加を奨励する通達が組織的に出ている」と説明したという。」
続いて、以下は、同じくYOMIURI ONLINE(2013年1月6日)からの引用です。
差し押さえられた土地、暴力団が公売で買い戻し
「暴力団が全国の裁判所の競売で組事務所を取得している問題に関連し、指定暴力団山口組の傘下団体が、大阪国税局に差し押さえられた組事務所の土地を事実上、公売で買い戻していたことが、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会(民暴委)などへの取材で分かった。
暴力団員の入札参加を許している裁判所の競売と同様、公売の買い受け資格にも暴力団排除条項がないためで、民暴委は法改正を求める方針だ。
民暴委などによると、この暴力団は、兵庫県内に事務所を構える山口組の有力傘下団体。
組事務所の土地は元々、組長と関係者が所有していたが、税金の滞納があり、大阪国税局は2008年1月、この土地の8割を差し押さえた。
しかし、09年2月、差し押さえられた土地の公売が行われ、同じ組の幹部が全ての土地を買い戻した。」
せっかく、全国各地の弁護士会の民事介入暴力対策委員会の弁護士が、必死になって明渡しを求めたりしているのに、何のこっちゃと思いますが、日本裁判官ネットワークブログへの裁判官の投稿によると、「悩ましい問題」なんだそうです↓
http://blog.goo.ne.jp/j-j-n/e/d3bb00a38efd54de90ac6cd0edb48882
確かに、知人やフロント企業を使って落札することを簡単には防止できないことはわかるのですが、暴力団排除条例により、民間人・民間企業は、暴力団関係者と不動産取引をしてはいけないことになっているのに、競売や公売の場合には、組長本人が落札してもオーケーでは、何の意味があるのでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ