以下は、MSN産経ニュース(2012.12.12)からの引用です。
「ペニーオークション詐欺でサイト運営者の男らが京都、大阪両府警に逮捕された事件で、人気女性タレント(35)が自身のブログで、摘発されたサイトで商品を落札したと紹介していたことが12日、分かった。
両府警は男らがサイトの宣伝のために有名人を利用していた可能性もあるとみて調べている。
詐欺容疑で逮捕された大阪市のインターネット関連会社役員、鈴木隆介容疑者(30)らが運営していたのは「ワールドオークション」。
女性タレントは平成22年12月27日のブログで、「お友達から教えてもらったワールドオークションってサイトでお買い物してみたよ」「1080円で落札したの」などと書き込み、空気清浄機と一緒に写った写真やサイトのアドレスも載せていたという。
京都府警によると、サイトは「最新家電を激安で落札できます」などとうたっていたが、実際は参加者が入札するたびに必ず高値を更新するサクラや、自動更新プログラム「ボット」を利用。
落札できない仕組みになっていた上、商品も存在しなかったとみられる。
ネット上には、他のタレントも同様の書き込みをしていたという情報もあり、両府警は、所属事務所を通じて確認している。」
続いて、以下は、東スポWeb(2012/12/18)からの引用です。
“ペニオク詐欺”仲介者・松金ようこの逮捕はあるか
「芸能界を震撼させているペニーオークション詐欺事件は、ほしのあき(35)や熊田曜子(30)、永井大(34)、小森純(27)などのほか、無名のタレントやモデルを含めると合計20人以上の芸能人が関与していたことが判明。
では、“広告塔”たちが詐欺ほう助で逮捕される可能性はあるのか。
まず、捜査当局が関心を示しているといわれているのが、ほしのと熊田にオークションを紹介した松金ようこ(30)だ。
「他にも松金経由で紹介されたタレントがいるそうだ。当局も気になっているのか、任意で複数回事情を聴いている」とは某芸能プロ幹部。
法曹関係者は「万が一、彼女がオークション詐欺の仕組みを把握した上で紹介していたとなれば、詐欺ほう助で書類送検、最悪の場合は逮捕の可能性も出てくる」と指摘する。
ただ、詐欺の仕組みを「知らなかった」のならば、立件は逃れられる可能性もあると指摘するのは元警視庁刑事で犯罪学者の北芝健氏。
詐欺ほう助容疑で逮捕の可能性については「警察が二の足を踏むのでは」とみる。
過去にも有名人が詐欺集団の広告塔になった案件は何度もあったが、刑事事件としては立件が見送られてきた。
「有名人は存在自体が広告塔といえるため、基本的になんでも『出演料』という名目で金を受け取ることができる。
あとは『知らなかった』と言い張れば詐欺の意思があったことを否定できてしまう。
立件には金銭を受け取ったというメール・写真や証言といった証拠が必要になるが、その証拠の収集が難しい」(北芝氏)
それぞれのブログからどれだけ被害が出たのか、具体的な数値の算出も難しく、人力・労力と成果の費用対効果を考えて警察が徹底捜査はしない可能性があるともいう。
もっとも、逮捕はなくても広告塔となったタレントに厳しい視線が向けられることは間違いないだろうが…。」
自分のブログに、実際には落札していないのに、落札したと写真入りで書き込みして欲しいと言われれば、何のために使われるのかは、容易に想像できるようにも思うのですが、タレントの場合には、CMとかで台本どおりの演技をするのが日常なので、感覚が麻痺してしまっているのでしょうかね。
自分のブログに書き込みをしたタレントにしても、紹介したタレントにしても、お金を貰っていようがいまいが、犯人の詐欺行為を容易にする行為を行ったことは間違いないですが、幇助犯(刑法62条1項)は、故意犯で、正犯を幇助する意思が必要です。
サイトの運営会社が、わざわざ詐欺であることを説明した上で、依頼するとは考えられませんので、立件されることはないのでしょうね。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ