以下は、時事ドットコム(2012/12/12)からの引用です。
「週刊現代の記事で暴力団関係者であるかのように報じられ、名誉を傷つけられたとして、元タレントの島田紳助(本名・長谷川公彦)さん(56)が発行元の講談社などを相手に5500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であり、森冨義明裁判長は同社側に110万円を支払うよう命じた。
問題とされたのは、昨年10月8日号の「紳助は『企業舎弟』」などの見出しを付けた記事。
判決は、「記事は島田さんが暴力団の威力を背景に事業を行い、見返りに資金提供し活動を賛助していたとの印象を与え、社会的評価を低下させるのは明らかだ」と指摘。
講談社側が、企業舎弟であることを真実と信じる相当な理由があったとの主張をしていないことから、名誉毀損(きそん)の成立を認めた。」
敗訴したというニュースを見たことがあるような気がするけど、勘違いかなと思いましたが、やはり勘違いではありませんでした。
同じ週刊現代でも、号も内容も異なり、別々の訴訟なので、結論が異なったのですね。
という訳では、以下は、同じく時事ドットコム(2012/10/30)からの引用です。
島田紳助さん敗訴=週刊誌記事めぐる訴訟−東京地裁
「週刊現代で「極道の世界の一員」などと報じられ、名誉を傷つけられたとして、元タレントの島田紳助(本名・長谷川公彦)さん(56)と吉本興業が発行元の講談社側に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁の本多知成裁判長は30日、島田さんの請求を棄却する一方、吉本興業への110万円の支払いを命じた。
問題とされたのは、昨年10月15日号の「切っても切れない『島田紳助と暴力団』」と題した記事。
判決は、島田さんが著名な芸能人で、暴力団との関わりという社会的関心が高い内容であることから、記事には公共性、公益性があるとした上で、「重要部分について、少なくとも真実と信じる相当な理由があった」と指摘、不法行為は成立しないとした。
一方、吉本興業については、「紳助が極道の世界の一員と知りながら契約を結んでいた」と記載した点を違法とした。
週刊現代編集部の話 主張のほとんどが認められ、実質勝訴と考えている。」
両判決も指摘するとおり、@公共性×A公益性×B真実性(又は真実と信じるにつき相当の理由)=名誉毀損は成立しないのですが↓、先日の敗訴判決では、講談社側に「真実と信じるにつき相当の理由」があったのに対し、今回の勝訴判決では、講談社側が、「真実と信じるにつき相当の理由」があったとの主張・立証をしないので、、名誉毀損の成立を認めたとのことです。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/archives/20120107-1.html
講談社側の弁護士が、うっかり主張・立証するのを忘れたということは考えられませんので、全く取材に基づかない記事だったのか、あるいは取材源との関係で、主張・立証を諦めざるを得なかったのか、2つに1つということになります。
ただ、どちらにしても、名誉毀損になるという結論は同じなので、見切り発車して、膨大な量の週刊誌を売って、膨大な利益を得ておいて、主張・立証できなかったら100万円余りでおしまいで良いのでしょうか。
必ずしもアメリカ型が良いとは思いませんが、日本の慰謝料制度は、考え直す必要があると思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ