以下は、朝日新聞デジタル記事(2012年12月8日)からの引用です。
「携帯電話の割引プランを途中で解約すると、9975円がかかる契約条項の是非が争われた訴訟の控訴審判決が7日、大阪高裁であった。
渡辺安一裁判長は、NTTドコモの条項を有効とした3月の一審・京都地裁判決を支持。
条項を使わせないよう求めた原告側控訴を棄却した。
この問題での高裁レベルでの司法判断は初めて。
原告は弁護士らでつくるNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」。
同じ解約金のKDDI(au)とソフトバンクモバイル(SB)についても京都地裁に提訴していた。
auへの判決(7月)は条項を一部無効として差し止めを命じたが、SBへの判決(11月)では請求を棄却し、判断が分かれていた。
ドコモで争われたのは割引プラン「ひとりでも割50」と「ファミ割MAX50」。
原告は「一律の中途解約金は、消費者の利益を一方的に害する」と、条項の使用差し止めを求めた。
渡辺裁判長は、会社の損害を超える違約金を定めた条項は無効とする消費者契約法に基づき、中途解約で生じるドコモの損害額を検討。
一審判決と同じく、2年間の継続利用を条件に基本使用料が半額になる割引プランを踏まえ、中途解約までの割引総額がドコモの損害にあたると認定した。
そのうえで、2011年度の割引プラン加入者の月ごとの平均割引額1837円に、中途解約までの平均月数13.5カ月をかけた2万4799円を損害と算定。
「解約金9975円は損害を下回っており、割引に見合った合理的な対価といえる」と結論づけた。
原告側は「条項は携帯電話会社を変更する自由を侵害し、不当に囲い込むものだ」とも主張したが、判決は「消費者は、割引プランか通常の契約かを自由に選べる。2年の契約期間が社会通念上、不当に長いとは言えない」と退けた。
原告側は「上告を検討する」、ドコモ広報部は「当社の料金制度は問題ないと理解いただけた」との談話を出した。
■「2年縛り」への苦情増える
中途解約による会社の「損害」をどう算出するか。
一連の訴訟では3社横並びの解約金9975円が、会社の損害額を上回れば条項は無効、下回れば有効との判断が導かれた。
au訴訟では、解約されなければ得られるはずだった「逸失利益」を損害とした。月ごとの平均的な通信料収入から経費などを除くと4千円。これに満期までの残月数を乗じた。満期まで2カ月なら8千円、1カ月なら4千円で解約金を下回るため、「最後の2カ月に限り無効」とした。
SB訴訟も逸失利益を損害とした。
算出方法は異なり、割引プランの加入者による月ごとの平均的な基本使用料などに、中途解約から満期までの平均月数を乗じ、1契約あたり1万2964円と算出。
これが解約金を上回るとして、「条項は有効」と結論づけた。
携帯電話業界では、番号を変えずに会社を乗り換えられる「番号ポータビリティー制度」が導入された2006年10月以降、競争が激化。
「2年縛り」とも呼ばれる割引プランを、各社が相次いで導入した。
国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた携帯電話の中途解約金に関する苦情・相談件数は07年度に1千件を超え、昨年度は2162件に達した。
今年度も7日現在で1779件に上る。
業界に詳しい木暮祐一・武蔵野学院大准教授(モバイル社会論)は「日本の携帯電話の料金体系は複雑で、世界と比べまだ高い」と指摘。
「今回は敗訴したが、原告が消費者を代表し、その不透明さを問題提起した意義は大きい。これを機に、各社が利用者の目線で料金体系やサービスを改善することに期待したい」と話す。」
当該消費者団体のホームページ↓には、これまでの地裁判決も、この大阪高裁判決も、掲載されていました。
http://kccn.jp/
「平均的な損害」の解釈の問題でもあり、「当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ」の解釈の問題でもあると思いますので↓、さすがに、最高裁が上告不受理で終わらせることはないとは思いますが、ドコモ広報部の「当社の料金制度は問題ないと理解いただけた」との談話からしても、敗訴してしまっては、単にお墨付きを与えるだけのような気もします。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/303304467.html
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ