以下は、朝日新聞デジタル(2012年11月29日)からの引用です。
「経営破綻(はたん)した大手消費者金融「武富士」の創業者の次男で元代表取締役の武井健晃氏に対し、横浜市内の5人が過払いした利息の一部にあたる計約700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(斎藤隆裁判長)は29日、請求をすべて棄却した。
7月の一審・横浜地裁は、5人のうち4人に対して計約420万円を支払うよう武井氏に命じていたが、高裁は取り消した。
一審判決は、過払い金が発生する可能性を認識した2007年以降も武井氏がその分を減額せず、貸金を返済させたことは違法と判断した。
しかし高裁判決は「武富士には多数の顧客がおり、すべての過払いを計算するのは現実的でない。減額せずに返済させたのは違法といえない」と結論づけた。
横浜地裁の一審判決については↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/283013469.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/283170726.html
我々のような普通の弁護士が、喧々諤々争っていた頃から、地裁や高裁の裁判官の対応は冷ややかでした。
裁判官から、「高金利であることをわかった上で借りたのだから、借金がなくなればそれで充分じゃないですか」と言われたこともありました。
しかし、最高裁判所には、きちんと判断して貰えていました↓
http://morikoshi-law.com/pdf/saikousai_160220.pdf
その後、過払金請求に関して、借主側に有利な最高裁判決が積み重なり、過払金請求が比較的容易に行えるようになると、テレビやラジオのCM、つり広告などで、全国から依頼者を誘引し、容易な過払金請求事件だけをつまみ食いする弁護士が現れるという事態が生じました。
日弁連も、遅まきながら、平成21年7月17日に、「債務整理事件処理に関する指針」を策定し、平成23年4月1日からは、「債務整理事件処理の規律を定める規程」↓が施行されています。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_no_93.pdf
時期をほぼ同じくして、最高裁でも、借主側に不利な判断が続くようになり、いきおい、元々冷たかった地裁や高裁でも、借主側に不利な判断が続いています。
裁判官としては、大量の過払金返還請求事件に嫌気が差しているのかも知れませんが、本来支払う必要のない高金利を絞られ続けてきた借主の長年の苦労が背景にあるということを、あらためて理解して欲しいものです。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ