以下は、朝日新聞デジタル(2012年12月3日)からの引用です。
「AIJ投資顧問による年金資産詐取事件で、同社社長の浅川和彦被告(60)が、5日に東京地裁で開かれる初公判で詐欺罪などの起訴内容を認める方針であることが、関係者の話でわかった。
浅川社長は、AIJの関係会社が海外で保有する約18億円の資産を、被害の回復にあてたい意向を示しているという。
同時に初公判が開かれるのは、同社取締役で会計担当だった高橋成子(53)、傘下のアイティーエム証券前社長・西村秀昭(57)の両被告。
3人は運用実績を偽ってファンドの権利を売り、17の年金基金から総額約248億円をだまし取ったとして、詐欺と金融商品取引法違反(契約の偽計)の罪で起訴されている。
関係者によると浅川社長は初公判を前に、「客に損をさせたくないという気持ちだった。自分の懐に入れるようなことはしていない」と話しているという。
被害の回復策として、解約が相次いだ2009年以降に、虚偽の運用実績に基づいて解約金を受け取った19基金に対し、解約金の一部を被害基金に回してもらうようお願いする手紙を送付した。
しかし、要請を受ける基金は今のところないという。
また、英領バージン諸島にあるAIJ関連のファンド管理会社が持つ資産をあてたい意向だ。
香港の銀行に約6億円、シンガポールの証券会社に約12億円の資産があるといい、運転資金などを除き、できる限り年金基金に返したいという。
ただ、香港の銀行口座は「犯罪収益が含まれ、マネーロンダリングの疑いがある」として香港当局に凍結されている。シンガポールの証券会社も現在、清算手続き中のため、実際にどれだけの資産が年金基金に戻るかは不透明だ。」
ようやく明日が初公判なのですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/296459865.html
さすがにもう「だますつもりはなかった」とは言っていないようですが↓、私が弁護人だとしたら、この期に及んで「客に損をさせたくないという気持ちだった。自分の懐に入れるようなことはしていない」などという言葉は、言わなせいようにすると思います。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/275896953.htm
悪気がなかったことを強調したいのでしょうが、むしろ、反省の色がないと取られて、刑が重くなるのではないかと思いますので。
しかも、自ら、虚偽の運用実績に基づいて解約金を支払っておきながら、その一部を返せとは、どういう了見なのでしょうかね。
民法705条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と定めています(非債弁済)。
受け取る権利がないのにお金を受け取った場合は、不当に利得したことになるので、本来ならば、返還しなければならないのですが(民法703条、不当利得)、債務が存在しないことを知っていながら、敢えて支払ったということは、贈与したようなもので、保護するに値しないので、返還請求は認められないことになっている訳です。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ