以下は、毎日jp(2012年11月30日)からの引用です。
「暴力団の身分を隠してゴルフをしたとして、大阪府警捜査4課は30日、指定暴力団山口組最高幹部で直系の極心連合会会長、姜(きょう)弘文(65)、同会幹部で元プロボクシング世界王者の渡辺二郎(57)の両容疑者ら3人を詐欺容疑で逮捕したと発表した。
逮捕容疑は昨年3月、暴力団関係者の利用を拒否している大阪府内のゴルフ場で身分を隠してプレーしたとしている。
府警によると、姜容疑者は黙秘し、渡辺容疑者は「私は暴力団組員ではありません」と否認している。
姜容疑者は若頭や総本部長に次ぐ山口組最高幹部の一人。
府警は今年7月にも、直系組長ら9人を同じ詐欺容疑で逮捕したが、容疑不十分で不起訴になっている。」
全国47都道府県の暴力団排除条例が出揃って、1年余りが経過しました↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/228571292.html
暴力団関係者の利用を拒否することを明示する施設も、増えていると思います。
今回の事件がなぜ詐欺になるのかと言えば、プレイ料金を支払わなかったということではなく、暴力団関係者であることがわかっていれば、ゴルフをさせることはなかったのに、暴力団関係者であることを隠されたので、ゴルフをさせてしまったということ自体が、財産上不法の利益を得たものとして、詐欺利得罪(刑法246条2項)になるということなのだと思います。
確かに、「真実を告知するときは相手方が金員を交付しないような場合において、商品の効能などにつき真実に反する誇大な事実を告知してその旨相手方を誤信させ、金員の交付を受けた場合は、たとえ価格相当の商品を提供したとしても詐欺罪が成立する。」と判示した最高裁判決もありますので↓、理屈上は、詐欺利得罪が成立する余地はあると思います。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55807&hanreiKbn=02
しかし、7月の逮捕者も嫌疑不十分で不起訴になっていることからすると、どうなんでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ