以下は、毎日jp(2012年11月29日)からの引用です。
競馬で稼いだ所得を申告せず、07〜09年に約5億7000万円を脱税したとして、大阪市の会社員の男(39)が所得税法違反で大阪地裁に起訴された。
男は総額28億円もの馬券を購入し、1億円を超す利益を得ていたが、大阪地検は外れ馬券の購入額を必要経費と認めず、実際のもうけを大幅に上回る脱税額で立件した。
19日にあった初公判で男は「一生かかっても払いきれない。税額を見直してほしい」と訴えた。
男の主張を裁判所はどう判断するのか−−。
関係者によると、男は過去のレース戦績を分析して市販の競馬予想ソフトを改良し、独自のシステムを構築。
04年ごろからインターネットで馬券を大量に購入するようになった。
決済用銀行口座に最初に100万円を入金した後は残高が順調に増え、馬券の購入額も跳ね上がった。
立件対象となった07〜09年は、計約28億7000万円の馬券を購入し、約30億円の払戻金を獲得。
利益は約1億4000万円にも上った。
大阪国税局が強制調査に乗り出し、告発を受けた地検が11年2月に在宅起訴した。
来月10日に検察側の求刑などがあり、結審する見通しだ。
公判で検察側は「約30億円の払戻金は一時所得に当たる」と主張。
収入から控除される必要経費について所得税法が「収入を生じた行為のために直接要した金額」と規定していることから、必要経費は当たり馬券の購入額に限られるとして所得税額を約5億7000万円と算定した。
一方、弁護側は「外れ馬券の購入額約27億4000万円も経費に算入すべきだ」と反論している。
起訴とは別に、男は05〜09年分の競馬での払戻金について約10億円(地方税も含む)の課税処分を受け、大阪国税不服審判所に審査請求している。
男は、競馬のもうけのうち約7000万円を株や投資信託につぎ込んだが、リーマン・ショックで損失を出したという。
現在は妻子を抱えながら、手取り約30万円の月給から約8万円を税金支払いに充てている。
大阪国税局によると、一般のサラリーマンは給与所得以外の所得が年間で20万円以上だと確定申告する必要がある。
競馬の払戻金については、検察側や国税当局の運用に沿った場合、当たり馬券購入額を差し引いた金額が年間で90万円以上だと申告義務が生じる。
宝くじの当選金は非課税だ。」
恐らく、誰かが税務署に密告したのが発端だと思いますが、競馬で儲けて、確定申告をしている人なんて、いるのですかね。
私は競馬はしませんが、賭け事に勝ち負けはつきものですし、通算で勝ち越すためには、相応の努力が必要なのでしょうから、外れ馬券の購入費用は勿論、競馬場に足を運ぶ交通費や、競馬新聞や雑誌やソフトの購入費用なども、経費と認めて良いのではないかと、個人的には思います。
しかし、税法というものは、いかにして税金を徴収するかという観点から定められているものなので、「直接経費や特別控除を差し引いた残りの全部ではなく、その2分の1に課税というこで相応の配慮をしているんだから、問題なし」ということで、刑事事件も、審査請求も、勝ち目はないと思います。
競馬と言えば、弁護士同士のメーリングリストには、「情報を提供する会社に何百万円も注ぎ込んだが勝てない」という競馬情報詐欺に関する投稿が、結構あります。
何でもそうですが、間違いなく勝てるというなら、この男性のように、自己資金で行えば良い筈ですし、特に、競馬の場合には、買いが集中すれば配当率が下がってしまうことを考えると、そんなうまい話がある訳ないと思うのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ