以下は、Sponichi Annex(2012年11月26日)からの引用です。
「俳優の高嶋政伸(46)が妻でモデルの美元(ミヲン、33)との離婚を求めた訴訟で、高嶋側が26日、東京家裁への訴えを取り下げた。
美元側もこれに同意し、離婚訴訟は終了した。
この日が控訴の期限だった。
今月9日、東京家裁は「婚姻関係は修復不可能であり、破綻していると言わざるを得ない」として原告である高嶋側の請求を認め、2人の離婚を認める判決を下したが、取り下げによって訴えそのものが“なかったこと”になった。
高嶋はこの日、代理人の弁護士を通じてマスコミ各社にファクスを送付し、「両者の合意に基づく離婚が正式に成立致しました」と発表。
美元も離婚に合意したことを報告し「一生懸命、自分の人生を歩んで生きていきたい」と心境を明かした。
2人は07年末にドラマ共演がきっかけで知り合い、08年9月に結婚。
しかしわずか1年11カ月後の10年8月に別居した。
高嶋は別居後、東京家裁に離婚調停を申し立てたが美元が応じず、昨年2月に調停決裂。
3月から離婚裁判が始まり、今年6月1日には2人が初めて法廷で直接対決した。
「俳優生活をなげうっても離婚したい」とした高嶋に対し、美元は「離婚する理由が見つからない」と婚姻関係継続を希望。
しかし今月9日には離婚を認める判決が出され、美元が控訴するかが注目されていた。 」
見出しだけを見た時には、一瞬、元の鞘に戻ったのかと思いましたが、さすがにそういうことはないですね。
東京家裁の判決を受けて、今後も更に泥沼の法廷闘争を繰り広げることとの利害得失を考慮し、お互いに条件面で折り合いをつけて、内々に離婚が成立したということで、ある意味、賢明なことだと思います。
ところで、本人が「離婚したくない」と言っているのに、判決という一種の国家権力により離婚が認められるためには、それ相応の理由がなければならないのは当然のことで、民法770条は、裁判による離婚が認められる事由として、以下の5つを定めています。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
そのうち、今回の判決では、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当するというのが理由となっています。
勿論、別居期間だけが全てではないものの、それが大きな要因であることは間違いなく、2010年8月の別居から2年余りで、離婚が認められたというのは、むしろ意外でしたが、元々、同居期間自体が1年11月ということなので、別居期間が同居期間を上回っていたというのが、ポイントだったのかも知れません。
ちなみに、今回のように、判決が確定するまでは、原告は、訴えを取り下げることができますが、第1回口頭弁論が行われた後は、被告の同意が必要となります。
被告側としても、せっかく裁判になっているのだから、きちんと白黒つけたいということも当然あるでしょうし、被告の同意を要件としないと、自ら訴え提起しておいて、形勢不利なら訴え取り下げということも可能になってしまいますので。
また、勘違いされる方も少なくないのですが、訴えの取下げは、上記のとおり、飽くまで裁判がなかったことになるだけで、原告が請求を放棄したことになる訳でもありませんし、原告の請求に理由がないことがはっきりする訳でもありませんので、再度、訴え提起することは可能です。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ