以下は、YOMIURI ONLINE(2012年11月9日)からの引用です。
「神奈川県逗子市小坪のアパートで6日、デザイナー三好梨絵さん(33)が殺害された事件で、県警が昨年6月、自殺した元交際相手の小堤英統(こづつみひでと)容疑者(40)(東京都世田谷区)を脅迫容疑で逮捕した際、逮捕状に書かれていた三好さんの結婚後の名前や住所の一部を読み上げていたことがわかった。
小堤容疑者がこれを基に三好さんの住所を割り出した疑いがあり、県警は当時の対応が適切だったかどうかを調べている。
逗子署幹部らによると、三好さんは2008年頃に別の男性と結婚した後の「三好」という名字や、逗子市内に引っ越したことを小堤容疑者には伝えていなかった。
三好さんが昨年6月から相談していたストーカー被害者のカウンセリングなどを行うNPO法人「ヒューマニティ」の小早川明子理事長(53)によると、三好さんは同月、「警察が結婚後の名前を(小堤容疑者に)伝えてしまった」と憤った様子で話し、県警に苦情を訴えたと説明したという。」
せっかく、住民票の閲覧制限を拡大するなど、2次被害を防止したり、安心して暮らせるようにする取り組みを進めている一方で↓、刑事事件というより深刻な事態に至ったら、元も子もないというのは、困ったものではあります。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/295098491.html
しかし、他の報道によると、犯人は、逮捕の際のやりとりが問題視されている脅迫罪で、刑事裁判となり、執行猶予判決を受けているとのことです。
性犯罪などの被害に遭ったことをおおやけにはしたくはないという被害者の心情を考慮して、そのような犯罪の場合には、氏名及び住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる被害者特定事項を、公開の法廷で明らかにしないようにすることができることになっていますが(刑事訴訟法第290条の2)、逆に言うと、起訴状には、公訴事実として、当然のことながら、被害者特定事項は記載されていますし、被告人に、起訴状を送達しない訳には行きません。
犯人が、被害者を殺害した後に、自殺してしまったことからもわかるとおり、本件では、執行猶予付の有罪判決というものが、残念ながら、更なる犯行の抑止力とはならなかったということであり、逮捕の際の警察官の対応を問題視するのは、いかがなものかと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ