以下は、時事ドットコム(2012/10/31)からの引用です。
「成年後見人をしていた男性から1800万円を自分の口座に振り込ませたとして、福岡県警小倉北署などは31日、詐欺容疑で、元九州弁護士会連合会理事長の弁護士島内正人容疑者(66)=北九州市小倉北区大手町=を逮捕した。
「うそをついて現金を振り込ませました」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は9月5日、市内に住む女性の成年後見人をしていた同市小倉南区の男性に「裁判所からの指示でNPOにお金を預け替えることになった」とうそをつき、島内容疑者の口座に計1800万円を振り込ませた疑い。
同容疑者は女性の成年後見監督人を務めていた。
また、以下は、時事ドットコム(2012/10/25)からの引用です。
弁護士、4400万円着服=成年後見人だます−福岡県弁護士会
「福岡県弁護士会は25日、北九州部会所属の島内正人弁護士(66)が、県内在住の女性の成年後見人をだまし、女性の口座から約4400万円を自分の口座に送金させ着服していたと発表した。
弁護士会は懲戒処分を検討している。
同弁護士は病気などで業務ができなかったといい、「事務所経費や生活費に使った」と話しているという。
弁護士会によると、島内弁護士は成年後見人の男性を監督する成年後見監督人。
2010年9月〜今年9月、男性に対し「裁判所から送金するよう指示があった」などとうそを言って、8回にわたって計約4400万円を送金させたという。」
またですか…。
金銭にまつわる弁護士の不祥事といえば、通常、自ら管理保管していた預り金や預金を着服横領したというものですが、本件は、そうではなく、敢えて、第三者を騙してお金を振り込ませたというものであり、尚更、驚きです。
ということは、着服横領よりも更に次の段階にまで進んでしまっているということになりますので、その前段階として、着服横領がないとは到底思えません。
「病気などで業務ができなかった」とのことなので、被害が拡大しないことを祈るばかりです。
ところで、先日、成年後見制度に関する弁護士会の研修があり、その中には、最近導入された後見制度支援信託制度に関するものもありました。
後見制度支援信託とは、被後見人の資産を信託銀行に預け、家裁の許可なしには後見人が引き出せないという制度です。
私自身も、複数の方の成年後見人に選任されており、多額の預貯金を管理している立場ですが、「信託銀行に預かって貰った方が安心じゃないの?何か問題あるの?」という感覚しかありませんでした。
研修を受けて、「本来、被後見人自身のために使われるべき資産なのに、家裁の許可を得なければ引き出せないということになると、ハードルが高くなり、被後見人自身のための後見制度という趣旨に反する」という話には、ナルホドと思うところもありましたが、やはり、資産が霧散してしまっては、元も子もありません。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ