以下は、時事ドットコム(2012/10/23)からの引用です。
「【ジュネーブ時事】イタリア中部ラクイラで2009年4月に死者309人を出した大地震で、事前に住民に警告しなかったとして過失致死罪で科学者ら7人が起訴された裁判で、ラクイラ地裁は22日、全員に禁錮6年の有罪判決を下した。
科学者らの判断が「不正確かつ不完全、矛盾に満ちている」と指摘。
検察側求刑の禁錮4年を上回る厳しい判断を示した。
地元メディアによると、被告弁護士の一人は「判決は信じられない内容だ」と述べ、控訴する意向を明らかにした。
裁判は技術的に困難な地震予知をめぐり、科学者らに責任を問えるかどうかが争点となった。
世界各国の5000人を超える科学者らが「科学を裁くことはできない」「専門家は責任追及を恐れ地震リスク評価に協力しなくなる」と批判していた。
訴えられたのは、自然災害リスクを評価する政府市民保護局の委員会メンバーだった著名地震学者、地球物理学研究機関のトップ、同局幹部ら7人。
ラクイラで続いていた微震のリスクに関し、地震発生6日前に「危険はない」と公表、住民が逃げ遅れるなど甚大な被害を招いたとして11年5月に起訴された。
検察側は7人が「不完全かつ的外れで犯罪に値する誤った評価」を行ったとして責任を追及。
地震予知ができたかどうかが問題ではなく、中世の歴史的建造物が残るラクイラが地震に弱く、住民へのリスク警告を怠った責任があると主張していた。」
科学者らが具体的にどのような理由でどのような判断をしたのかわかりませんし、判決全文を見ることもできませんので、何とも言えませんが、予想外の判決ではあります↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/294582146.html
イタリアでの判決と言えば、以下は、CHUNICHI Web(2012年10月19日)からの引用です。
「携帯使用で脳腫瘍」と労災認定 伊最高裁、保険支払い命令
「【ローマ共同】イタリアの最高裁は18日までに、仕事で携帯電話を長時間使用したことが脳腫瘍の発症につながったとの北部に住む男性(60)の訴えを認め、全国労働災害保険協会に労災保険の支払いを命じる判決を下した。
同国メディアが報じた。
訴えによると、男性は2002年までの12年間に仕事で一日5〜6時間、携帯電話やコードレス電話を耳に当てて使い続けた結果、頭部左側に良性の腫瘍ができ、手術を受けた。
判決は、長年にわたる携帯電話使用と脳腫瘍発症の因果関係を示したスウェーデンの学者らの研究結果を「信頼性が高い」と認定。
腫瘍の「少なくとも原因の一つと言える」とした。」
携帯電話に関する判決と言えば、以下は、MSN産経ニュース(2012.10.17)からの引用です。
携帯基地局差し止め認めず 電磁波と症状「証明不足」 宮崎地裁延岡支部
「宮崎県延岡市の住民30人が、携帯電話中継基地局の電磁波が原因で健康を害したとして、KDDI(東京)に基地局の運用差し止めを求めた訴訟の判決で、宮崎地裁延岡支部(太田敬司裁判長)は17日、住民の請求を棄却した。
住民側弁護団によると、基地局の電磁波と身体症状の因果関係が争われた訴訟は初めて。
太田裁判長は因果関係について「十分証明できているとはいえない」との判断を示した。
問題の基地局は延岡市内の住宅街にある3階建てマンション屋上に設置され、平成18年10月末に運用が始まった。
住民側は運用後しばらくして頭痛や耳鳴りなどの症状が出たと主張。
うち3人を診断した医師による「症状は思い込みではない。電磁波による可能性が高い」との所見書を証拠として提出した。
その上で「電磁波と症状との因果関係が推認される」などと、基地局の運用を差し止めるよう求めた。」
労災認定と基地局の運用差止という場面の違いや、脳腫瘍発症と頭痛や耳鳴りという症状の違いはあるにせよ、「少なくとも原因の一つと言える」として因果関係を認めてしまうイタリアの裁判所と、「十分証明できているとはいえない」として因果関係を否定する日本の裁判所。
上記の地震警告失敗の有罪判決もそうですが、イタリアと日本とでは、立証のハードルの高さが随分違うように感じます。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
携帯電話基地局の電磁波に関して
それなりの情報を公開していますので、
参照してくだされば、幸いです。
携帯電話の基地局に関する情報の頁
http://homepage3.nifty.com/~bemsj/RF5.htm
携帯電話などの電磁波に関連して裁判になって事例
http://homepage3.nifty.com/~bemsj/RF7.htm
延岡の裁判の判決文要旨も
イタリアの脳腫瘍労災認定の判決文も
上記サイトに紹介してあります。
参考にさせて頂きます。