2012年10月20日

機内での盗撮、立件に壁 「どこの上空」特定が必要


以下は、朝日新聞デジタル(2012年10月14日)からの引用です。

「飛行中の旅客機内での盗撮容疑で全国で初めて逮捕された男が、処分保留で釈放されていたことがわかった。

盗撮した地点が特定できず、どの都道府県条例を適用すべきか確定できないと検察が判断したためという。

警視庁は同様の事案に対する取り締まり策の検討に乗り出した。

会社社長の男(34)は9月10日、高松発羽田行きの日本航空機内で、女性客室乗務員のスカート内を盗撮したとして警視庁に逮捕された。

通路を歩く乗務員の背後から、座席に座ったまま手を伸ばしてボールペン型カメラで盗撮したとされ、調べに対し「乗務員の制服を見てムラムラした」と容疑を認めた。

自宅パソコンからは、旅客機や新幹線内での盗撮画像が多数押収されたという。

盗撮の摘発には、発生した場所の都道府県の迷惑防止条例が適用される。

だが、飛行中の旅客機内では、どこの上空だったのかの特定が難しく、これまで逮捕された例はなかった。

今回は目撃者や乗務員の証言から、盗撮した時刻を午前8時9分と特定し、航路の分析から盗撮地点を兵庫県篠山市上空と断定して同県の条例違反容疑での逮捕に踏み切った。

しかし、捜査関係者によると、事件を送致された検察側は、正確な時間や場所の特定ができず、兵庫県の条例違反に問えるか疑問が残ると判断し、逮捕から10日後に処分保留のまま釈放したという。

このまま不起訴となり、罪に問われない公算が大きい。

■法令に抜け穴「整備必要」

時速約900キロで飛ぶ旅客機内での盗撮は、摘発の網を逃れ続けてきた。

「後ろ姿じゃダメだな。近くに来たらもう一度盗撮してみよう」「CA(客室乗務員)がサービスに回ってくるぞ。盗撮チャンス」。

インターネット上には、機内で女性客室乗務員を盗撮したとする画像があふれる。

ある航空会社の担当者は「トイレ内に小型カメラを取り付けられたこともある」と打ち明ける。

カメラつき携帯電話やスマートフォンの普及が、盗撮をより容易にしているが、対策は遅れている。

機内での携帯電話の利用や乗務員へのセクハラ行為については、2004年施行の改正航空法で、罰金を科すことのできる「安全阻害行為」に盛り込まれた。

だが、盗撮については明確な規定がないままだ。

全日空広報室によると、盗撮行為を確認した場合は「航空機内の秩序を乱す行為」ととらえ、機長名の「警告書」を出し、着陸後に警察に引き渡すケースが多いという。

だが、警察当局は各都道府県の迷惑防止条例で対応せざるを得ない。

そこでは1分間に約15キロの高速で移動する旅客機の特性が壁になる。

さらに問題なのが国際線だ。

国土交通省航空保安対策室によると、公海上の盗撮行為には、そもそもどの都道府県の条例も適用されない。

ある航空会社の担当者は「厳重注意するしかない」と言う。

航空各社でつくる定期航空協会は「法律や条例のすき間を狙うような悪質な行為が相次いだ場合は、対策を検討する可能性はある」と話す。

警視庁の捜査幹部は「現状では、迷惑防止条例以外に打つ手がない。盗撮の禁止を航空法に明記するなど、何らかの措置が必要ではないか」と話す。 」



ボールペン型カメラ持参で、しかも盗撮画像が多数押収されたとのことですので、ムラムラしたどころの話ではなく、明らかに確信犯・常習犯ですね。

こういう輩が野放しになっているというのは、実にけしからん話です。

刑法1条1項は、「この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。」と定めており、 同条2項は、「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。」と定めています。

つまり、刑法上の犯罪であれば、日本国内のどこであろうと適用されることは勿論、日本国外にある航空機内であっても適用される訳です。

立法により簡単に解決する問題は、さっさと立法的に解決して欲しいものですし、既に出来上がっている沢山の法案ですらたなざらしになっている現状は、何とかしてもらいたいものです。

経済が停滞、政治も停滞では、日本の信用力が低下するのも、当然のことです。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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