以下は、朝日新聞デジタル(2012年9月24日)からの引用です。
「妊娠中に母親の血液中に含まれる胎児のDNAを調べ、父親を特定する親子鑑定の出生前診断ビジネスが、日本でも始まった。
母親と、父親と考えられる男性の血液を調べれば、父親かどうか、10日間で99%以上の確率で分かるという。
手軽な検査で中絶につながれば、倫理的に問題があるとして、日本産科婦人科学会は会員が原則として協力しないよう指針を改定する。
この鑑定ビジネスは米国の検査会社が昨夏から始めた。
日本では東京と沖縄の2業者が約1年前から始めた。
妊娠9週以降に、母親の血液20ccと父親候補の血液5ccを採取し、米国の会社に送り解析する。
料金は13万円。
従来の羊水を調べる親子鑑定法は、流産のリスクもあり、15週前後からしか使えなかった。
東京の業者によると、昨年10月に検査を始め、計約130件を鑑定し、6割が女性からの依頼という。
担当者は「血液検査は、妊娠週数の早い段階で結果がわかる。今後、依頼者は増えるだろう」と話す。
沖縄の業者はこれまでに約20件行ったと説明する。
依頼者は、子どもの父親が夫か浮気相手か知りたい、父親と名指しされた男性が疑問を持った、などの理由で利用するという。
国内で親子関係の不存在を確認する調停は昨年、約1700件あった。
相続がからみ、親子鑑定が行われることもある。
父親が「我が子」と信じている子どもとの関係について、欧米など13カ国では約4%で血のつながりがなかったとの報告もある。
日本産科婦人科学会は来年6月をめどに出生前診断の指針を改定する方針で、裁判所の求めなど法的措置を除き、私的目的の親子鑑定に協力しないよう、会員に求める。
ただし、今回の検査法は、羊水採取という専門的な技術が不要で、産婦人科医の協力なしでも可能だ。
両社とも内科医らが採血に協力していると明かしている。
日本産科婦人科学会の平原史樹横浜市立大教授は「安易に検査を受けて中絶につながれば、子どもの福祉に大きく関わる問題だ。出生前親子鑑定は医療上の行為ではなく、慎むべきだ」と話す。」
ダウン症の件とは趣きは異なりますが↓、やはり、人生観・宗教観・倫理観などによって、意見は分かれると思います。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/290371598.html
母体保護法14条1項1号は、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」に対する人工妊娠中絶を認めていますが、極めて広義に解釈・運用されているのが、実情ではないでしょうか。
いずれにしても、産婦人科医が協力しなくても、他の科の医師の協力により検査できてしまうのですから、医師会全体で議論しなければ、意味がないと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ