以下は、時事ドットコム(2012/09/20)からの引用です。
「自社の胃腸薬「セイロガン糖衣A」と類似したパッケージを使っているなどとして、大幸薬品(大阪府吹田市)が富山市の製薬会社「キョクトウ」を相手取り、販売差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であり、山田陽三裁判長は、類似商品とは認められないとして請求を棄却した。
大幸薬品側は即日控訴した。
同裁判長は、「正露丸」は遅くとも1954年ごろまでに普通名称となっていたと指摘。
「大幸薬品のパッケージで自他の識別機能を持つのはラッパのマーク部分で、被告商品にはこれに類する表示がない」と述べ、類似性を否定した。
大幸薬品側は、パッケージのデザインが酷似し「飲みやすい白い錠剤」の文言も同一などとして、消費者が混同する恐れがあると主張していた。
判決後、大幸薬品の担当者は「判決は残念で遺憾」と述べた。キョクトウの安村善信社長は「当然の判決。これからも安全、有効でリーズナブルな商品を提供したい」としている。」
以下は、同じく時事ドットコム(2012/09/20)からの引用です。
越後製菓の勝訴確定=切り餅特許訴訟−最高裁
切り餅をきれいに焼くための切り込みをめぐる特許権を侵害されたとして、越後製菓(新潟県長岡市)がサトウ食品工業(新潟市)に商品の製造差し止めと損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は19日付で、サトウ側の上告を棄却する決定をした。
特許権侵害を認め、製造差し止めと約8億円の賠償を命じた二審知財高裁判決が確定した。
越後製菓は切り餅の側面に切り込みを入れることで、焼くときれいに膨らむ技術で特許を取得したが、側面に加えて上下に十字型の切り込みを入れた「サトウの切り餅」の一部商品が特許権を侵害しているとして提訴した。
一審東京地裁は、上下面にも切り込みがあることを理由に特許権の侵害を認めなかったが、二審知財高裁は侵害を認め、サトウ側に製造差し止めと約8億円の損害賠償を命じていた。
サトウ食品工業の話
判決確定に備え既に8億円余りを特別損失に計上している。現在製造・出荷する切り餅は(設計変更を行っており)最高裁決定で影響を受けるものではない。」
切り餅訴訟については、やはり最高裁は知財高裁の判断を尊重しましたね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/285607381.html
サトウ食品工業側としては、判決確定に備えて特別損失に計上するくらいであれば、どこかの段階で何とか和解に持ち込んだ方が良かったように思いますが、越後製菓側が、強硬に和解を拒んだということでしょうか。
正露丸訴訟については、ウィキペディアによると、大幸薬品は、正露丸について商標登録をしているものの、普通名称化しており登録は無効であるとの判断が最高裁で確定しているそうですので↓、商標権の侵害ということでは無理なので、不正競争防止法2条1項1号の周知表示混同惹起行為、同項2号の著名表示冒用行為あたりを主張したのだと思いますが、ラッパのマークがないという理由で、類似性が否定されたとのことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E9%80%9A%E5%90%8D%E7%A7%B0%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%9F%E5%95%86%E6%A8%99%E4%B8%80%E8%A6%A7
石屋製菓の「白い恋人」は商標登録されていますが、「白い」と「面白い」とでは全然言葉の意味が違いますし、正露丸と比べると、「白い恋人」と「面白い恋人」とでは、パッケージも随分異なるように思いますが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ