以下は、YOMIURI ONLINE(2012年9月20日)からの引用です。
「中央教育審議会の法科大学院特別委員会ワーキンググループは20日、全国74の法科大学院のうち18校について、成績の悪い受験者を合格させ、入学者の質を確保する態勢に問題があるとする調査結果をまとめた。
「一部の法科大学院の問題意識の低さを放置すると、法曹養成制度全体の信頼性を失う」として改善を強く求めており、これを受けて文部科学省は各校に対応を促す方針。
今年度の入試の結果を分析したところ、法科大学院志願者が受ける共通テスト「適性試験」の成績が全受験者の下位15%未満の者を合格させた法科大学院が18校あった。
うち1校は、10人以上も合格させていた。
大学名は公表されなかった。
報告書では、適性試験の成績が低い受験者について、「一部例外を除き、入学後の成績も伸びず、仮に修了できたとしても司法試験に合格していない」と指摘。
下位15%をめどに最低基準点を設け、入学させないようなシステムにするよう求めた。」
法科大学院入試のための適性試験は、大学入試のためのセンター試験のようなものだと思いますが(受けたことがありません)、法科大学院を受験するためには、必ず受けなければならない試験ですので、この成績を全く無視するかのような姿勢が、許されて良い訳がありません。
本年度の適性試験の受験者の実人数は、過去最低の5967名と、6000人を割り込んでいます↓
http://www.jlf.or.jp/jlsat/pdf/20120709_kekka.pdf
平成15年の開始当初から一昨年までは、日弁連法務研究財団と大学入試センターの2者が適性試験を行っていましたので、両方を受験していた人もいたのだと思いますが、平成15年の実受験者数は、前者が18355人、後者が35521人とのことですので、もの凄い勢いで、法曹を志す人が減っていることは間違いありません。
リスクに見合うだけの魅力を感じないので法曹を志す人が減る→学生数が少ないと法科大学院を経営できないのでレベルの低い人も合格させざるを得ない→結局司法試験の合格率が低迷する…という負の連鎖に陥っているのが現状で、司法を強化するどころか、弱体化する結果になっていると思います。
この報道の元となっている中央教育審議会の法科大学院特別委員会は、文部科学省です↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/index.html
法曹の養成に関するフォーラムと、これを引き継いだ法曹養成制度検討会議は、法務省です↓
http://www.moj.go.jp/housei/shihouhousei/housei01_00044.html
http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00001.html
上記両省に、司法試験の合格者年3000人は無理と勧告したのは、総務省です↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/265946474.html
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/000056940.html#seisakuhyokasyo2
司法は最後の砦です。
弁護士の助力なしに、裁判等の手段により、大企業や国家に立ち向かって行くことは、不可能なのではないかと思います。
幾ら弁護士が頑張ったところで、裁判官に適正公平な判断をして貰えなければ、どうしようもありません。
検察官にも、適正公正な捜査・処分をして貰わなくては困ります。
迷走することなく、早急に、抜本的な改革を行い、魅力ある法曹界にして頂きたいです。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ