以下は、毎日jp(2012年09月05日)からの引用です。
「岩手弁護士会は4日、盛岡市南大通で事務所を開く渡辺栄子弁護士(60)が顧客2人からの預かり金約4500万円を横領していたと発表した。
詳細は調査中だが、渡辺弁護士は「一部は事務所の経費にあてていた」などと話し、事実関係を認めている。
通常は、弁護士会として懲戒処分を決めた後、公表するが「重大な事案」として同日、記者会見を開いた。
同会によると、10年11月ごろ、渡辺弁護士が県内の70代男性2人から遺産の事務執行を依頼され、委任に従って遺産金がある預金口座を解約。
約1億1400万円を自身の口座に入金し、同年12月から今年7月までの間、複数回にわたり約4500万円を横領したとされる。
今年7月、男性被害者2人が「遺産金が返ってこない」と弁護士会に相談を寄せて発覚した。
被害金額の弁償のめどは立っておらず、男性2人は同会を通じて既に盛岡東署に被害相談をしている。
弁護士の懲戒処分の公表は原則、処分結果が出てからになるが、今回は異例。
処分については今年中に綱紀委員会の調査を終了し、懲戒委員会が審査をして決定するとしている。
渡辺正和会長は「弁護士に対する社会的信用を失わせて申し訳ない」と謝罪した。」
またですか…。
弁護士の不祥事も様々ですが、大々的に報道されるような着服横領のたぐいは、大抵ベテラン弁護士なので、「弁護士を増員しても、若手弁護士は着服横領なんかしていない。若手弁護士の質は下がっていない。質が低いのはベテラン弁護士の方だ。」という方がいらっしゃるかも知れませんが、私は違うと思います。
若手弁護士は、そもそも着服横領する程のお金を預かる機会が少ないのに対して、ベテラン弁護士は、年数を重ねれば重ねるほど、経験を積めば積むほど、多額のお金を預かることになる。
若手弁護士は、そもそも弁護士大増員を前提としているので、事務所経費などを初めから切りつめているに対して、ベテラン弁護士は、色々な面で、なかなか急な舵取りをすることができない。
そして何よりも、弁護士は思うほど儲けておらず、ベテラン弁護士ですら、必ずしも充分な余裕がある訳ではない。
勿論、それ以外にも、個別の事情があると思いますが(そうでなければ、着服横領などという事態は、到底、理解できませんので)、これが、弁護士大増員→自然淘汰の1つの形だと思います。
たとえば、長い一生の中の一回の食事であれば、「今日のお店ははずれだったね」で済むかも知れませんが(勿論、食中毒とかは論外ですが)、一生に一度あるかないかの事件を依頼した結果がこれでは、たまったものではありません。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ