以下は、毎日jp(2012年08月06日)からの引用です。
「愛知県豊川市の自宅で自分の家族5人を殺傷したとして殺人罪などに問われた無職、岩瀬高之被告(32)の控訴審判決が6日、名古屋高裁であった。
柴田秀樹裁判長は、懲役30年(求刑・無期懲役)とした1審・名古屋地裁岡崎支部の裁判員裁判の判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。
判決によると、岩瀬被告は家族にインターネットを解約されたことに怒り、10年4月17日未明、自宅で眠っていた家族を包丁で刺し、父一美さん(当時58歳)とめいの金丸友美ちゃん(同1歳)を殺害。
母と友美ちゃんの両親である弟夫妻に重傷を負わせ、自宅に放火した。
被告は一美さんの長男。
約15年間ひきこもり生活を送っていた岩瀬被告は、1審で精神鑑定の結果、知的障害と自閉症が認定された。
このため、殺意の有無と責任能力が限定的だったかどうかが争点となった。
1審判決は、普段から凶器の包丁を調理で使い危険性を理解していた被告が、被害者の逃走を阻止した上で、急所を刺すなど手加減していないことなどから、殺意があったと認定。
被告が犯行後に自宅に放火し、血のついた服を裏がえしに着ていたことや、駆けつけた警察官に「家族を刺して家に火をつけた」と説明した点を「犯行の意味を理解した上での行動」と判断。
完全な責任能力があったと認定した。
控訴審で弁護側は、「けがをさせようと最初に母の足を刺した被告が、精神障害のためにパニック状態に陥ったことで意識障害が生じ、ほかの家族を襲った」として殺意はなく傷害致死などにとどまると主張。
「重度の意識障害で制御能力が著しく低下」した心神耗弱状態で責任能力は限定的だったとし、懲役20年を下回る判決を求めていた。」
殺意あり×完全責任能力という前提で言えば、2人殺害+3人重傷+放火ですから、死刑求刑→死刑判決でもおかしくはないところ、原審は、無期懲役求刑→懲役30年判決とのことですので、温情的な求刑と判決だったように思います。
被告人が知的障害者という点では共通していますが、先日の求刑を上回る判決↓とは、随分発想が異なるように思います。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/284561604.html
ちなみに、先日の判決では、20年が有期懲役の上限とのことでしたが、それは殺人既遂1件だけだったからで、本件では、殺人既遂2件+αですので、併合罪加重と言って、重い刑の1.5倍の範囲内で処罰されるので、30年が有期懲役上限ということになります。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ