以下は、YOMIURI ONLINE(2012年7月10日)からの引用です。
「配達中の郵便物を持ち去ったとして業務上横領罪に問われた郵便事業会社のアルバイト男性(24)(休職中)について、大阪地検は10日午前、大阪地裁での公判で「犯罪を行った証明ができない」と無罪論告し、「(逮捕から)33日間にわたって身柄を拘束したことを誠に申し訳なく思う」と謝罪した。
検察側が求刑で無罪を求めるのは極めて異例。
福島恵子裁判官は同日午後、無罪を言い渡した。
男性は昨年6月24日午後2時48分頃、大阪市内のマンションの住人に配達予定のルームミラー1個(時価5390円相当)を横領したとされた。
男性は捜査段階から公判にかけて否認。
男性の周辺からもルームミラーは見つからなかった。
地検は初公判(昨年11月)の冒頭陳述で、不在者用ロッカーの記録などを根拠に、「男性がロッカーに配達物を入れてすぐに取り出し、持ち去った」と主張していた。
しかし、ロッカーの記録にエラー表示があることがわかり、地検は先月、ロッカーの設計者から記録の仕組みを聴取。
この日の公判で、〈1〉エラー表示が出た後はデータの時刻が固定され、荷物の出し入れの記録がずれる〈2〉郵便物が取り出されたのは配達から少なくとも5時間近く後だった――との趣旨を説明した調書の要旨を読み上げた。
確かに、真犯人が見つかったので無罪弁論というのはたまにありますが、証明できないので無罪弁論というのは、珍しいかも知れませんね。
それにしても、郵便物を横領するなら、わざわざ、足が着くんじゃないかと思われる宅配ロッカーに出し入れしたりしないのではないかという発想は、浮かばないものでしょうか。
他の報道によると、弁護人は刑事補償を求める方針とのことですが、刑事補償と言っても、「勾留1日当たり1,000円以上12,500円以下の範囲内で、裁判所が定める額」(刑事補償法4条1項)ですので、たまったものではありません。
一応、刑事補償法5条は、「この法律は、補償を受けるべき者が国家賠償法その他の法律の定めるところにより損害賠償を請求することを妨げない。」と定めてはいるのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ