以下は、YOMIURI ONLINE(2012年6月28日)からの引用です。
「日本老年医学会(理事長・大内尉義東大教授)は27日、高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について、導入や中止、差し控えなどを判断する際の指針を決定した。
指針は医療・介護関係者向けに作成されたもので、人工栄養補給を導入する際は、「口からの摂取が可能かどうか十分検討する」などと指摘。
さらに、胃ろうなどの処置で延命が期待できたとしても、本人の意向などにそぐわない場合、複数の医療関係者と本人・家族らが話し合った上で合意すれば差し控えが可能とした。
人工栄養補給を開始した後でも、苦痛を長引かせるだけの状態になった場合などは、再度、話し合って合意すれば、栄養分の減量や中止もできるとした。
医療側に対しては、患者側が適切な選択ができるよう、情報提供することを求めている。
国内では近年、口から食べられなくなった高齢者に、おなかに小さな穴を開け、管を通して胃に直接、栄養分や水を送る胃ろうが急速に普及。
認知症で、終末期の寝たきりの患者でも、何年も生きられる例が増えた。
一方でそのような延命が必ずしも本人のためになっていない、との声が出ていた。」
また、以下は、YOMIURI ONLINE(2012年6月24日)からの引用です。
終末期の人工透析、家族意向で中止も…学会提言
「重い慢性腎不全の患者が受ける人工透析について、日本透析医学会(理事長・秋沢忠男昭和大教授)は、終末期の患者家族が希望した場合などについて、透析の中止や開始の見合わせも可能とする提言をまとめた。
23日、札幌市で開かれた同学会総会で明らかにした。
国内で人工透析を受けている患者は約30万人いるが、70歳以上での開始が約半数と高齢化している。
終末期の患者への透析のあり方が現場で議論になっていることから、同学会は作業チームを設け、導入や継続を見合わせる際の具体的な手順について検討してきた。
体調が悪化し医学的理由から安全に行うことができない場合だけでなく、判断能力がある患者が自ら透析を拒否した場合や、自分では判断能力がない終末期患者でも家族が拒否した場合は、見合わせや中止の対象とする。
医療側から見合わせや中止を提案し、同意を得て行うこともあるとした。」
ほぼ同時期に、同じような指針・提言がまとめられましたね。
医学の進歩と、高齢化社会という現実を、ますます実感させられますね。
法律の世界でも、尊厳死・安楽死ということで議論されています。
結構昔から、日本尊厳死協会というのがあります↓
http://www.songenshi-kyokai.com/
一方で、安楽死・尊厳死法制化を阻止する会というのもあるのですね↓
http://soshisuru.fc2web.com/index.html
私の父は、10年程前に、誤嚥で、心肺停止状態となり、蘇生措置により、心臓だけは動き出し、脳死状態になったのですが、1か月以上、人工呼吸器と補液とで、延命措置がなされました。
脳死状態ですから、意識が回復する見込みは皆無で、日々、骨と皮だけになっていく父を見舞うのは、とても辛かったです。
勿論、助けることができる患者さんを助けなければならないことは当然ですし、そのための努力は決して怠ってはいけませんが、それだけが全てではないと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ