2012年06月12日

年金訂正申し立て:第三者委、抑制を指示


以下は、毎日jp(2012年06月06日)からの引用です。

「「消えた年金」の記録訂正と支給の可否を判断する総務省の「年金記録確認第三者委員会」が、加入者からの申立件数を抑えるよう指示する内部文書を作り、各地の年金事務所に通知していたことが5日分かった。

記録訂正が認められる可能性が低い加入者に対し、年金事務所の窓口で「申し立てしないよう説得」した上で、「事務量を軽減する」と明記している。

年金記録問題の解決が長引くなか、不誠実な対応を窓口に迫る姿勢が浮き彫りになった。

◇内部文書「事務量を軽減」
毎日新聞が入手した内部文書は、記録訂正が認められる可能性が低い事例として「第三者委でいったん申し立てが退けられたのを不服として、再度申し立てる場合」「申立期間が、基礎年金番号が導入された97年1月以降である場合」などと具体的に示した。

その上で「新たな資料がある場合に限り再申し立てできる」「単に結論に不服があるということだけでは記録訂正は認められない」などと強調。

同じ時期に作った加入者向け説明チラシでも、複雑な事実関係を自ら「十分確認してから申し立てる」よう求め、申し立てをためらわせるような表現を掲載していた。」



Yahooニュースに掲載されているものと比較すると、大幅に内容が変更されていますが↓、何かあったのでしょうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120606-00000014-mai-soci

数年前まで、年金記録確認北海道地方第三者委員会の部会長をしていましたが、国(厚生労働省)側に記録がなく、ご本人も領収書等の直接的な証拠を持っていない案件ですので、調査員の方々の苦労は、並大抵のものではありませんでした。

まずは、申立人本人からの事実関係の聴き取りから始まる訳ですが、本人も、古い話で記憶が曖昧なので、これ自体が大変。

そして、例えば、「〇〇年頃、〇〇で働いており、給料から社会保険料を控除されていた筈だ。」と言われれば、何十年も前の話でも、その当時、そのような事業所が存在したかどうかを調査するのですが、本人が言っている名称と異なる可能性も考慮した上で調査します。

事業所の存在が確認できたら、当時、本人が働いていたかどうか、働いていたとしても、社会保険料を控除されていたかどうかを、調査します。

そもそも、当該事業所が、社会保険の適用事業所ではなかったということもあります。

そうでなくても、見習い期間は社会保険をかけていなかったり、あるいは全期間を通じて失業保険のみということもままあります。

これらの調査を、残存している資料だけでなく、当時の事業主や同僚を探し出した上で、聴き取り調査を含めて、全件、行うことになります。

判断の理由自体は、簡潔にまとめられていますが↓、調査員の方々は、1件1件、本当に気が遠くなるような調査を、一生懸命行っていましたし、第三者委員会としても、かなり食い下がり、できるだけ認める方向で議論していました。
http://www.soumu.go.jp/kanku/hokkaido/nenkindaisansha/index.html

ですので、複雑な事実関係を自ら十分確認してから申し立てて欲しいというのもわかりますし、一度、判断が下った以上、新たな資料がなければ認められる可能性はない、単に結論に不服があるということだけでは、記録訂正は認められないというのも、当然のことだと思います。

それよりも何よりも、約21万2000人に上る可能性があるという、コンピューターで管理している年金記録と、原簿の紙台帳の内容が不一致を、是正すべきではないでしょうか。

調査対象は約3030万人分にもなるようですが、1件1件の調査は、上記のような調査に比べれば、実に簡単なものですし、本人が気付いていないから良いという問題ではないと思います。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/270853114.html

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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