以下は、毎日jp(2012年06月05日)からの引用です。
「警視庁は5日、弁護士資格がないのに消費者金融に過払い金の返還請求をしたなどとして、東京都豊島区南大塚の債務整理会社社長、小島辰夫(55)、中野区新井の司法書士、甲斐勝正(67)ら8容疑者を弁護士法違反容疑で逮捕したと発表した。
グループの大半は大手消費者金融をリストラなどで辞めた元社員ら。
元勤務先の債務者名簿を持ち出し営業していたとみられる。
同庁によると司法書士が非弁活動で逮捕されるのは全国初という。
逮捕容疑は11年6月ごろ、債務者11人から外資系消費者金融に対する過払い金返還請求を受任。
甲斐容疑者の司法書士事務所で、弁護士資格が必要な1件140万円超の和解交渉を行い、返還された過払い金のうち計653万円を報酬として得たとしている。
保安課によると、8容疑者は09年11月〜11年12月、全国の約1300人の過払い金返還請求を引き受け、消費者金融約20社に総額32億円を請求し、12億円を和解金として回収。
うち4億円を手数料として得ていたという。
過払い金返還請求は06年1月の最高裁判決を機に急増。
ピーク時4万7000社あった事業者は2200社まで激減した。
捜査幹部は「業界の内情に詳しいことを逆手に取り債務者を救済するように見せかけて金もうけをしていた」とみている。
メンバーは旧武富士(10年に会社更生法適用)などの勤務経験があり、債務者名簿の入手経路を追及している。」
旧武富士ではなかったような気がしますが、特定の貸金業者の債務者名簿が流出しているとしか思えないような勧誘、すなわち、特定の貸金業者に完済した債務者に対して、過払い金請求の依頼を勧誘するダイレクトメールや電話があったというような話は、何度も聞きました。
ようやく逮捕者が出たものの、過払い金返還請求のピークは数年前に終わっているので、いまさらの感があります。
どこかの弁護士会の非弁護士取締委員会が、刑事告発していたのでしょうかね。
09年11月〜11年12月の約2年間で手数料4億円という金額自体も驚きですが、総額32億円の請求に対して、回収した和解金は12億円ということですので、請求金額の僅か4割弱で安易に和解しているのに、報酬は3割超、本人の手元に残るのは、本来支払われるべき過払い金の僅か2.5割程度ということになりますね。
司法書士は、本来、140万円を超える事件の代理人となることはできないのですが↓、大きな収入につながる事件を手放したくないので、大幅に譲歩して和解せざるを得なかったのではないでしょうか。
http://morikoshi-law.com/faq1-4.html
このような弊害は、過払い金返還請求に限らず、交通事故による損害賠償請求や、その他のどんな事件でも、起こり得ることだと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ