以下は、SankeiBiz(2012.6.1)からの引用です。
交通事故の被害に遭った際などに弁護士費用を保険金で賄える「弁護士費用保険」の加入者が、年々増え続けている。
自動車保険などの特約として販売されており、平成22年度の契約件数は1400万件を超え、全国の総世帯数の3割近くを占めるまでに普及した。
一方で、利用件数は年間1万件未満と低調。
「いざというときのために安心はしたいが、実際に裁判沙汰にするのは避けたい」。
背景にはそんな複雑な消費者心理もあるようだが、勧められて加入したものの、契約内容をよく理解せずに使わない人も多いとみられる。
弁護士費用保険は年額2千円前後の保険料で、相談費用や示談交渉、訴訟などの弁護士費用が300万円を上限に保険金から支払われるタイプが一般的。
自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険の特約としても販売されており、保険会社を通じて弁護士会から弁護士を紹介してもらうこともできる。
加入するメリットが大きいのは、信号待ちをしていて追突された場合など、自分にまったく過失がないケース。
保険加入者に過失があれば、保険会社は保険金を支払う当事者として、示談交渉を行ってくれるが、「もらい事故」は被害者側に賠償責任がないため、利害関係のない保険会社は弁護士法の規定で示談交渉を代行できない。
このため弁護士を依頼しなければ、被害者自らが示談交渉を進めなければならないからだ。
また、被害額が少なく、弁護士費用の方が高額になりかねない事故の場合でも、費用を気にせずに弁護士に依頼できる。
弁護士費用保険は日本弁護士連合会(日弁連)と損害保険会社が連携し、平成12年にスタート。
日弁連によると、12年度の契約件数は約7400件だったが、その後、取り扱う保険会社も増え22年度は約1430万件になった。
現在は11の保険会社が取り扱っている。
一方で実際に保険を利用した件数は、年々増加しているものの22年度でも約8200件。
契約件数に占める利用件数の割合は、自動車保険の中で利用率の高い車両保険はもちろん、対人賠償保険や搭乗者傷害保険をも大きく下回っている。
ある大手損保会社では、自動車保険の全契約のうち弁護士費用の特約がセットされたものは半数に上る。
にもかかわらず利用が少ない理由について、担当者は「弁護士に頼むと角が立つ場合もあり、トラブルが手に負えなくなって初めて弁護士に、という人が多いのでは」と分析する。
「保険に加入しているのに、気づかずに使っていない人も多いはず」と指摘するのは、大阪弁護士会総合法律相談センター運営委員会で弁護士費用保険のPRなどを担当する木村圭二郎弁護士。
同会は所属の弁護士に対し、依頼者に弁護士費用保険が使えないか、契約内容を確認してもらうよう呼びかけているという。
木村弁護士は「弁護士費用は高いのでは、と依頼するのをためらっている人もぜひ保険を活用してほしい。そのためにも保険会社と連携してPRしていきたい」と話している。」
私自身は、交通事故の被害者の方から相談があった場合には、必ず弁護士費用特約が付いていないかどうかを良く確認するようアドバイスしてしておりますので↓、そんなに利用が低調だとは、驚きました。
http://morikoshi-law.com/faq3-5.html
こちらに全く過失がないケースは勿論、こちらにも過失があるケースでも、保険会社は、保険金を支払う当事者として、過失割合や相手方の損害額については示談代行することができますが、こちらの損害額については示談代行することはできません。
相手方の保険会社が、被害者本人宛に提示する損害賠償額は、本来支払って貰うべき金額よりも、大幅に少ないことが殆どですので、弁護士費用保険の有無にかかわらず、迷わず弁護士に相談するべきでしょう。
http://morikoshi-law.com/koutuujiko.html
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ