以下は、毎日jp(2012年05月22日)からの引用です。
「本や漫画を私的に電子化する「自炊」の代行業は著作権の侵害にあたるとして、作家らが代行業者に自炊行為の差し止めを求めていた訴訟で、被告の代行業者「スキャン×BANK」(東京都世田谷区)が会社を解散。
原告弁護団は近く訴訟を取り下げる。
弁護団が東京法務局で同社の解散登記を確認し、22日発表した。
訴訟は、原告側の実質的勝訴で終結した。
この訴訟では、東野圭吾さんや浅田次郎さんら7人が、2社を相手取り提訴。
このうち川崎市の業者は、4月に原告側の請求を認めて代行業務を中止。
「スキャン」社も同月の口頭弁論で、「1月末でスキャン事業(自炊代行)を廃止した。会社も解散する」と述べていた。
原告7人は22日、「今回の実質的勝訴は当然の結果。著者の許諾なく大量スキャン事業は行えないという訴訟の結果を理解してもらいたい」とするコメントを出した。」
自炊行為の差し止めを求めていた訴訟ですので、自炊行為を止めたから取り下げるというのは、当然といえば当然ですが、これでは、「裁判を起こされたら、その時点で止めれば良い。それまではやり放題。」ということにならないでしょうか。
原告らとしては、「別にお金が欲しい訳ではない。自分の作品である本が、無残に裁断されてスキャンされ、それが商売として成り立っているのが許せない。」ということだったのかも知れませんが、著作権法には、侵害行為の差止請求権だけでなく、損害額の推定規定もありますので、自炊行為の差し止めと合わせて、損害賠償請求も行うべきではないでしょうか。
そうなれば、自炊業者側も徹底的に争ってくることになり、今回のように、簡単に解決することはなかったかも知れませんが、一度は、きちんと判決を貰わないと、いたちごっこが続くように思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ