2012年05月19日

ロッキード事件裁判長殺害、妻を不起訴処分 「認知症で責任能力なし」


以下は、MSN産経ニュース(2012.5.15)からの引用です。

「昨年2月に、ロッキード事件裁判の裁判長を務めた元東京高裁判事で、弁護士の半谷(はんや)恭一さん=当時(78)=を絞殺したとして、妻(81)が殺人容疑で逮捕された事件で、東京地検は15日、「認知症で、責任能力が認められない」として、妻を不起訴処分とした。

妻は釈放された。

妻は今年2月の逮捕当時、警視庁の調べに殺害自体を否認していたが、東京地検は「妻が犯人ではある」と、殺害は認めた。

警視庁の逮捕手続きについても「間違っていなかった」として、適法とする判断を示した。

地検は、半谷さんが先に認知症となり、妻が介護していたが、その後、妻も認知症になり、半谷さんの首を絞めたとみている。

妻は、昨年2月5〜6日ごろ、東京都文京区の自宅マンションで半谷さんの首を絞めて殺害した疑いで逮捕された。

当時から、家族は「認知症だ」などと話していたが、警視庁は事件から約1年間にわたって、妻の日常生活や行動を確認するなどしたうえで「責任能力はある」と判断していた。

一方、警視庁から送検を受けた東京地検は、今年3月から約2カ月にわたって改めて精神鑑定留置を実施。

その結果、責任能力はないと判断した。

ただ、半谷さん殺害をした人物については、東京地検は「ほかに現場に出入りできる人物はいなかった」などとして、妻と認定。

現場の自宅マンションは密室で、防犯カメラの画像などを精査した結果、ほかに現場を出入りした人物がおらず、事件発覚前日の昨年2月5日深夜、2人が激しく言い争う声が聞かれていたことなどを考慮したとみられる。

ただ、殺害した詳しい時刻や方法などについては「認定できない」とした。

【用語解説】刑事責任能力

刑事事件の容疑者や被告が、自分の行動に責任を負う精神的な能力。

容疑者らが認知症や精神障害などで善悪の判断がつかなかったり、自分の行為を抑制できなかったりする「心神喪失」と認められれば、責任能力はないと判断され、刑法39条に基づき刑罰は科されない。

精神鑑定の結果などを参考に、犯罪の動機が理解できるか▽行為に一貫性があるか−などを総合的に検討する。

起訴、不起訴を決める前に検察などが判断するほか、公判で有無が争われれば裁判所が判断する。」


心神喪失状態の人の行動を非難することはできないので、刑罰は科されないことになっています。

しかし、釈放されたからといって、社会内にそのまま放置されるという訳ではないことは勿論です。

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(長すぎるので、通称、「心神喪失者等医療観察法」)により、医療機関への入院等が行われることになっています↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sinsin/index.html

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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