以下は、時事ドットコム(4月19日)からの引用です。
「生活保護費の不正申請・受給を防ぐため、銀行業界が、自治体の照会で行う生活保護申請者の預金口座の調査を、全支店一括で行う方針を固めたことが18日、明らかになった。
全国銀行協会が新制度の準備を進めており、早ければ今年度中に実施する。
現在は照会を受けた支店ごとに行っている口座調査の範囲を、照会を受けた銀行の全支店に広げることで、申請者が居住地から離れた支店に開設した口座も捕捉し、不正受給の防止に役立てる。
厚生労働省は、一定の資産を隠した人物の不正申請・受給が生活保護費増加の一因になっているとみており、全銀協に申請者の資産調査体制の拡充を求めていた。
全銀協は同省などと協議し、口座調査の事務手続きの詳細を詰める。」
同一金融機関の全ての店舗の預金口座の差押については、高裁レベルでは認める決定もあったのですが、最高裁平成23年9月20日決定は、「債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は、債権差押命令の送達を受けた第三債務者において、直ちにとはいえないまでも、差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに、かつ、確実に、差し押さえられた債権を識別することができるものであることを要する。」として、「大規模な金融機関の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをする方式による預貯金債権の差押命令の申立ては、差押債権の特定を欠き不適法である。」と判示してしまいました↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81634&hanreiKbn=02
裁判を起こしても、判決が出ても、お金を支払わない人の預貯金が、どこの支店にあるのかなんて、わかる訳がないのに。
この新制度が、「速やかに、かつ、確実に、」口座の調査が可能なものなのであれば、裁判所の判断も変わる筈なのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ