以下は、毎日jp(2012年05月01日)からの引用です。
「長崎県西海市の2女性殺害事件で、殺害された山下美都子さん(当時56歳)の三女(23)に暴行を加え傷害を負わせたとして同県警西海署は1日、三重県桑名市、無職、筒井郷太容疑者(27)=殺人罪などで起訴=を、傷害容疑で再逮捕した。
大筋で容疑を認めているという。
逮捕容疑は昨年9月15日、千葉県習志野市藤崎2の路上で三女の顔を殴り、全治19日の皮下出血のけがをさせ、さらに同10月29日、同市津田沼の当時の三女方で胸や顔を手で殴り、テレビのリモコンで後頭部を数回殴るなどの暴行を加え、全治3週間のけがをさせた、とされる。
西海署は、傷害事件を2女性殺害事件の関連として、千葉県警習志野署から引き継いだとしている。
事件を巡っては、昨年10月下旬以降、筒井容疑者による三女へのストーカー行為について、家族らが警察に相談。
習志野署は被害届の受理を先送りして署員らが北海道旅行に出かけ、12月14日になって傷害に関する被害届を受理した。
長崎地検は4月26日、筒井容疑者が美都子さんと三女の祖母久江さん(当時77歳)を包丁で刺殺したとして、殺人罪などで長崎地裁に起訴した。
遡って、以下は、毎日jp(2012年04月24日)からの引用です。
長崎ストーカー殺人:三女への傷害容疑で再逮捕へ
「長崎県西海市の2女性殺害事件で、殺人容疑などで逮捕された無職、筒井郷太容疑者(27)について、長崎県警は殺害された山下美都子さん(当時56歳)の三女(23)への傷害容疑で再逮捕する方針を固めた。
筒井容疑者は、事件当時の精神状態を明らかにするための鑑定留置が24日、終了した。
警察の捜査対応が問題となった三女への被害も立件することで、事件の全容解明を図る。
捜査関係者によると、筒井容疑者は昨年10月下旬、三女が当時住んでいた千葉県習志野市内で暴力を振るい、顔や腕などにけがをさせた疑いがもたれている。
美都子さんの夫誠さん(58)は昨年10月下旬以降、千葉県警習志野署に筒井容疑者によるストーカー行為を相談したが、同署は「人手が足りない」などとして被害届の受理を先送り。
署員らは北海道旅行に出かけていた。
被害届は昨年12月14日になって受理されたが、美都子さんと誠さんの母久江さん(同77歳)が殺害された。
北海道への旅行は今年3月になって発覚し、千葉県警の鎌田聡本部長が訓戒処分を受けるなど、処分や口頭厳重注意を受けた関係者は長崎、三重両県警を含め計34人に上った。」
軽傷の傷害事件の場合、現行犯逮捕などではない限り、本人が容疑を認めているのに逮捕ということは余りありませんので、10月下旬に被害届が受理されていたからといって、犯人が速やかに逮捕され、殺害事件を絶対に防げたとは言い切れません。
しかしながら、起こった犯罪を捜査するだけでなく、犯罪を未然に防止するのも警察の重要な仕事の1つだと思いますし、任意の事情聴取でも、充分に犯罪に対する抑止力になることは、ストーカー防止法の定めを見るまでもなく、明らかです。
しかも、被害届の受理が1か月半程先送りになった挙句に、その僅か2日後に殺害事件が起きてしまったのに対し、警察がその気になれば、1週間もあれば逮捕することができるのですから、被害届の受理の先送りと殺害事件の発生には、相当因果関係が認められるべきだと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ