以下は、Sponichi Annex (2012年4月25日)からの引用です。
「無免許の18歳少年が起こした京都府亀岡市の暴走事故が大きな波紋を呼ぶ中、札幌市でも無免許の少年による犯罪が発生した。
札幌・北署は、職務質問しようとした警官を車で400メートル引きずったとして24日、殺人未遂などの疑いで札幌市北区のアルバイトの少年(17)を逮捕。
17歳の少年の逮捕容疑は22日午後、札幌市東区で車を走行中に信号を無視し、北署地域課の高橋幸希巡査長(25)に職務質問を受けた際、車を急発進させ巡査長を約400メートル引きずり、全身打撲で10日間の軽傷を負わせた疑い。
少年は巡査長が運転席のエンジンキーを抜こうとした際、車を急発進させた。
運転席のドアをつかんだ巡査長を引きずりながら逃走を図ったものの、車は電柱に衝突。
巡査長は衝撃で振り落とされ、全身を打ってケガをした。
少年はその後、しばらく車を走らせたあと、車を捨てて同乗の女性を連れて逃げていた。
北署が公務執行妨害事件として行方を追っていた。
北署は当初、「20代くらい」としていたが、逮捕してみると17歳だった。
普通免許が取得できる18歳にも達していなかった。
北署によると少年はおおむね容疑を認める供述をしており、「無免許と信号無視で捕まるのが嫌だった」と話している。
同署では車の所有者などを調べるとともに、無免許運転ほう助の疑いもあるとして、同乗の女性についても捜査を進める。 」
一方、以下は、時事ドットコム(2012/03/16)からの引用です。
はねた男性の正当防衛認める=「身を守るため」と無罪−大阪地裁
「男性会社員=当時(39)=を車でひいて死なせたとして、傷害致死罪などに問われた自動車部品会社元役員梅本淳一被告(44)の裁判員裁判の判決で、大阪地裁(遠藤邦彦裁判長)は16日、同罪について無罪とし、道交法違反(ひき逃げ)罪で罰金5万円を言い渡した。
検察側は懲役5年を求刑していた。
梅本被告は昨年1月、大阪・ミナミの繁華街で運転中、クラクションを鳴らした相手の男性から走って追い掛けられた際、男性をひいて死なせた。
被告は殺人未遂容疑で逮捕され、傷害致死罪で起訴された。
検察側は「傷害の故意がなかったとしても誤ってはねた」と主張し、自動車運転過失致死罪を、予備的訴因として起訴内容に追加。
弁護側は無罪を主張していた。
判決は、被告に男性をわざとひく意思はなかったと判断。
男性が「殺すぞ」などと言って何回も窓をたたいたとし、被告の車のワイパーが引きちぎられた点も挙げ、「男性の尋常でない攻撃から身を守るためにやむを得ない行動だった」と認定した。
その上で、被告の行為は自動車運転過失致死罪に当たるが、正当防衛が成立するため無罪と結論付けた。」
正当防衛がどうのこうのと言うつもりはないのですが、生じた結果は10日間の軽傷ですから、逃走を図っただけで、警察官をひき殺したり、警察官を電柱に激突させる意図があった訳ではないのであれば、殺人未遂というのは行き過ぎではないでしょうか。
少年はおおむね容疑を認める供述をしているとのことですので、「警察官が死んでも構わないと思ったのだろう」(未必の殺意)と問われて、「はい」と答えているのかも知れませんが。
警察は、市民の対する犯罪には腰が重たいのに、身内に対する犯罪には厳し過ぎるのではないでしょうか。
付添人の適切な弁護活動と、検察官の良識により、傷害罪に落ちるものと思いますが、検察官も、この手の事件では、警察のメンツを立てるきらいがあるので、やや心配です。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ