以下は、朝日新聞デジタル(2012年4月10日)からの引用です。
「岡山大学病院(岡山市北区)は10日、歯のかみ合わせを治す13年前の手術で、ガーゼ1枚(30センチ角の半分の三角形)を患者の上あご内に置き忘れていたと発表した。
患者がこの3月に岡山市内の別の病院で手術を受けて発覚した。
槇野博史病院長は「心からおわび申し上げる」と謝罪した。
岡山大病院によると、ガーゼが見つかったのはほお骨の裏付近にある「右上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞部分。
1999年に当時20代の県内の女性が手術を受けた際、当時40代の歯科医が止血に用いたガーゼを置き忘れたとみられる。
女性が約1年前に蓄膿(ちくのう)症にかかり、今年3月の手術で偶然ガーゼが見つかった。
蓄膿症の原因となった可能性もあるとして、病院が医療費を負担するという。」
他の報道によると、慰謝料等も支払うとのことです。
病院が責任を認めるのは当然のことだと思うかも知れませんが、必ずしもそうではありません。
「うちのガーゼとは限らない」という反論を受けたことがあります。
それならまだしも、「血の海だったので、残っているのを発見できなかったことに過失はない」という反論を受けたこともあります。
ガーゼの置き忘れというのは結構あるミスで、病院側の実感としては、そうなのかも知れませんが…。
本件のように、責任を認めたとしても、あくまで、蓄膿症の原因となった「可能性」に過ぎないので、因果関係を争うこともあり得ます。
そうでなくても、損害額だけでも、大きな争いとなることがしばしばです。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ