以下は、YOMIURI ONLINE(2012年4月9日)からの引用です。
「覚醒剤密輸事件の裁判員裁判で無罪判決が相次いでいることを受け、最高検は、密輸事件の立証方法などを見直す検討会を4月中に発足させることを決めた。
年内にも公判立証や捜査の指針を示す考え。
2009年の裁判員裁判スタート後、検察が特定の種類の事件を対象に公判対策の組織を設けるのは初めて。
覚醒剤密輸は、最高刑が無期懲役と重いため、市民生活とは縁遠い事件にもかかわらず、裁判員制度の対象となった。
無罪判決は同制度の開始から7件あり、全対象事件の無罪判決(17件)の半数近くに上る。
密輸事件では、手荷物に覚醒剤を隠して入国した渡航者や覚醒剤入りの航空貨物の受け取り役が逮捕・起訴されるケースが多い。
被告が「中身を知らなかった」と否認した場合、検察側は税関での態度など間接事実を積み上げて犯意を立証する。
しかし、密輸になじみのない裁判員から、「その態度は必ずしも犯人であることを示さない」などと判断されることがあった。」
どんな事件が市民生活とは縁遠いのか、裁判員になじみがないのか、という切り口には、疑問を感じます。
どんな事件でも、市民生活とは縁遠いといえば縁遠いですし、なじみがないといえばなじみがないです。
しかし、どんな事件にも、常に冤罪の可能性は潜んでいる訳で、量刑だけでなく、有罪無罪の判断にも、市民感覚を取り入れようというのが、裁判員裁判を導入した理由だったのではないでしょうか。
従前は、「疑わしきは被告人の利益に」という言葉とはかけ離れた、検察官の主張を鵜呑みにするような裁判官の事実認定がまかり通っていたのが、裁判員裁判の導入により、そうは行かなくなったということだと思います。
そのことの是非については、色々な立場から、色々な意見があるでしょうが、検察庁から、どのような指針が示されるのか、興味がありますね。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ