以下は、毎日jp(3月8日)からの引用です。
「風俗店経営の男性を殺害し現金を奪ったとして強盗殺人罪などに問われた小谷野裕義被告(39)に対し、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は5日付で、被告の上告を棄却する決定を出した。
裁判員裁判の1審を破棄して審理を差し戻した2審・仙台高裁判決が確定する。
裁判員裁判の判決に対する差し戻しが確定するのは初めてとみられ、裁判員を選任し直して再度審理されることになる。
小谷野被告は04年9月、別の男=無期懲役確定=らと共謀し、仙台市太白区の山林で風俗店経営の男性(当時30歳)を殺害。男性の自宅金庫から現金約5000万円を奪うなどしたとして起訴された。
男性の遺体は見つかっていない。
男と殺害を話し合ったかや、殺害行為を実行したかが主な争点。
1審・仙台地裁は現金を持ち出したことは認定したが、「話し合いをしておらず、殺害行為もしていない」として強盗致死罪を適用、懲役15年とした。
これに対し2審は、現場で2人が暗黙のうちに殺害の意を通じた可能性が濃く、審理が尽くされていないとして審理を差し戻していた。」
裁判所のホームページに掲載されていないので、詳細がわかりませんが、先月の2件の無罪判決↓とは真逆の結論です。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/253199143.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/254352483.html
2月13日の判決では、「2審は1審と同じ立場で審理するのではなく、事後的な審査に徹するべきで、1審判決が不合理な場合にだけ破棄できる」として逆転無罪とし、2月22日の決定では、「被告が犯人である疑いは濃い」とまで言いながら検察官の上告を棄却したのに、今回は、被告人の上告を棄却した訳ですから、最高裁としては、現場共謀がなかったという1審の裁判員裁判の判決が余りに不合理だと考えたということになりますね。
高裁・最高裁の判断にどこまで拘束されるのか、先日、刑事裁判官と飲んだ席で尋ねても良くわからなかったのですが、差戻し審の裁判員にとって、一部無罪の結論を維持することは、非常に難しいでしょうね。
この流れからすると、高裁の裁判官としては、裁判員裁判の判決が不合理と思った場合には、破棄自判はせず、破棄差戻しということになるのでしょうが、結局、事後審に徹すべきという理念が、骨抜きにはならいのでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ