以下は、YOMIURI ONLINE(2012年2月28日)からの引用です。
「奈良県大和郡山市で2003年9月、警察官が逃走車に発砲して助手席の男性が死亡した事件の付審判で、殺人と特別公務員暴行陵虐致死の両罪に問われた警察官2人の裁判員裁判の判決が28日、奈良地裁であり、橋本一裁判長は、それぞれ無罪(求刑・各懲役6年)を言い渡した。
警察官は、奈良県警の東芳弘巡査部長(35)(当時・巡査長)と萩原基文警部補(35)(同・巡査部長)。
公務員の職権乱用を巡る付審判が裁判員裁判で審理されたのは初めてで、一般市民の裁判員が警察官の職務行為をどう判断するのかが注目された。
付審判決定などでは、03年9月10日夜、大和郡山市の国道24号でパトカーが車上荒らし事件の手配車両を追跡し包囲。
車が逃走を図ったため、2人が助手席側から約1メートルの距離で計3発発砲し、各1発が高壮日さん(当時28歳)の頭部と首に命中。
高さんは約1か月後に死亡したとしている。
公判は発砲の正当性と殺意の有無が争点となった。
検察官役の指定弁護士は発砲が警察官職務執行法の規定を逸脱し違法と指摘。
さらに助手席窓ガラス後方付近に向け至近距離から撃ったとして、「未必的な殺意があった」としていた。
弁護側は発砲の正当性を主張して無罪を求めていた。
車が一般車両にも衝突を繰り返し、「一般市民らに危険が迫り、車を止めるために、やむを得ず発砲した」とし、殺意も「運転者の腕を狙ったが、車が動いたため、助手席の高さんに当たった」と否定していた。」
できるだけ詳しい報道を引用するようにしているつもりなのですが、先日の公判に関する報道↓では、「起訴状に当たる付審判決定によると、2被告は共謀し、03年9月10日午後6時45分ごろ、奈良県大和郡山市の国道24号で、(助手席にいた)高さんを公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕しようとして拳銃を発砲し、それぞれ1発ずつ後頭部と首に当て、約1カ月後に死亡させたとされる。」と記載されていただけなので、てっきり、助手席にいた人を狙って打ったのだと思っていました。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/248406897.html
私の感覚では、1回結審は、被告人に不利な結果につながることが多いので、上記のような被告人に厳しい状況だとすれば、なぜ1回結審なのだろうかという疑問を呈したつもりです。
今回の報道でも、双方の主張と判決の結論は記載されているのですが、裁判員を含めた裁判所が、無罪の結論を導いた理由がありません。
流れからすると、運転者を狙ったが誤って同乗者に当った(過失致死)→急迫不正の侵害に対して、市民の生命・身体を防衛するため、やむを得ずにした行為(正当行為)→無罪ということだとは思いますが…。
と思ったら、YOMIURI ONLINE(2012年2月28日)が改訂されていました。
「2003年9月に起きた奈良警察官発砲事件で、殺人と特別公務員暴行陵虐致死の罪で付審判決定を受けた警察官2人の裁判員裁判の判決が28日、奈良地裁であった。
橋本一(はじめ)裁判長は「発砲に違法性は認められず、殺意もなかった」と、2人に無罪(求刑・各懲役6年)を言い渡した。
検察官役の指定弁護士は控訴する。
公務員の職権乱用を裁く付審判の裁判員裁判は例がなく、市民が警察官の発砲の妥当性を初めて判断した。
2人は東(ひがし)芳弘巡査部長(35)(当時巡査長)と萩原基文警部補(35)(当時巡査部長)。
判決によると、2人は同月10日夜、大和郡山市の国道24号で、手配中の車に向け助手席側から発砲。
2発が高壮日(こうそうじつ)さんの首と頭に当たり、高さんは約1か月後に死亡した。
判決は「逃走は一般市民への危険性が高く、発砲以外に車を阻止する手段はなかった。警察官職務執行法の要件も逸脱していない」と正当性を認めた。さらに、「運転者の左前腕部を狙った発砲で殺意は認められない」とした。」
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ