以下は、時事ドットコム(2012/02/23)からの引用です。
「警察の取り調べ録音・録画(可視化)のあり方などを議論する国家公安委員長主催の有識者研究会は23日、現在実施している可視化の試行範囲を拡大すべきだとする報告書をまとめた。
取り調べに過度に依存しないようにするため、新たな捜査手法の導入を積極的に検討する必要性にも言及。
DNA型データベースを大幅に拡充することなども提言した。
報告書は、警察の裁量で実施し、効果を検証する可視化の試行について、これまでの自白事件に加え、容疑者が否認したり黙秘したりする事件でも必要性を指摘。
従来の調書の読み聞かせ場面だけでなく、容疑者の逮捕後、起訴までの間、取り調べのさまざまな場面で実施すべきだとした。
取り調べの全過程の録音・録画は、消極的な意見が出たことを踏まえ、「真相解明に支障がある場合は実施しない」とした。」
一方、以下は、YOMIURI ONLINE(2012年2月18日)からの引用です。
「録画停止後に検事威圧」被告側が地検に抗議
「福岡地検の検事が1月、現住建造物等放火罪に問われている男性被告(21)の起訴前の取り調べで、録音・録画を止めた後に「有罪になる」「真剣に思い出せよ」などと発言したとして、弁護側が地検に抗議したことがわかった。
弁護側は「証拠が残らないように威圧した。都合のいい部分だけを録音・録画する可視化のやり方は問題」と主張。
事件は裁判員裁判の対象で、取り調べの妥当性が争点になる可能性も出てきた。
弁護側によると、被告は昨年11月に福岡市の住宅兼倉庫に侵入し2階に放火した疑いで、同12月に逮捕、送検された。
担当の男性検事による取り調べは今年1月5日に行われ、午後2時半から録音・録画が始まった。
被告は「酒を飲んでいて記憶がない」などと主張。
午後3時半頃、検事から「取り調べは終了」と告げられ、撮影も止められた。
この後、検事は「この事件で有罪になると思う。いや有罪になるけど、君の今後に影響することだとわかっているの?」などと発言し、約20分間取り調べを続けたという。
同12日にも撮影終了後に「もっと真剣に思い出せよ」と強い口調で告げたとしている。」
警察庁のホームページ↓には、捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会の最終報告のPDFファイル↓が掲載されています。
http://www.npa.go.jp/
http://www.npa.go.jp/shintyaku/keiki/saisyuu.pdf
警察官の問題のある取り調べは、昨年1年間で、僅か286万8381分の31件だったそうですが↓、今回の検事の取り調べは、問題のない部類に入るのですかね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/252145909.html
取り調べの全過程の録音・録画を実施しない「真相解明に支障がある場合」というのが、警察・検察が想定している「真相」の解明ということでなければ良いのですが…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ