以下は、毎日jp(2012年2月17日)からの引用です。
「北海道砂川市が市有地を空知太(そらちぶと)神社に無償で使用させていることが憲法の政教分離原則に反するかどうかが争われた訴訟の差し戻し上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は16日、撤去を求めた市民側の上告を棄却した。
違憲とした第1次上告審・最高裁大法廷判決(10年1月)後、市が有償貸与に切り替えるなど対応を決め、違憲状態を解消したとの札幌高裁の差し戻し控訴審判決(10年12月)を支持した。
住民側敗訴が確定した。
小法廷は「市側の(有償貸与の)対応が実施されれば、一般人の目から見て、市が神社に特別の便益を提供していると評価されるおそれがあるといえない。違憲性を解消する手段として合理性がある」と述べた。
無償提供された公有地に寺社が建つ例は全国に多数あるとされ、有償貸与による解決を探る動きが進むとみられる。
空知太神社は市有地に建つ町内会館に併設。
会館に「神社」と掲示され、鳥居やほこらがあった。
第1次上告審判決は、外形的事実から神社施設と見るほかないと指摘し違憲と判断。
「違憲解消のための合理的で現実的な手段がないか審理すべきだ」と差し戻し、市は宗教的な建造物を1カ所(約50平方メートル)に集約させて年間約3万5000円で貸し付け、「神社」の文字を撤去するなどの案を示した。
原告の一人の谷内栄さん(81)は「一度は違憲判決を受け、負けたとは思っていない。ここまで最高裁にものを言わせたことは一つの戦いの成果だ」と話した。」
裁判所のホームページにも掲載されていますが↓、この事件の類題が、私が司法試験に合格した年の憲法の論文試験の問題でした。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82003&hanreiKbn=02
私の答案は、前回の最高裁判決同様、請求分離の原則に反し違憲という内容でしたが、試験問題の前提事実と、当時の学説・判例の流れからして、合憲という内容の答案を書いた受験生は、ほとんどいなかっただろうと思います。
前回の最高裁判決↓の「違憲解消のための合理的で現実的な手段がないか審理」するために破棄差し戻すという裏ワザには、正直驚きましたが、その最高裁の助言に従って改善した訳ですから、今回の最高裁判決は、当然というか、出来レースという感じです。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38347&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38346&hanreiKbn=02
今度は、長年違憲状態を放置した責任を問う訴訟を起こすことになるのでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ