以下は、YOMIURI ONLINE(2012年2月13日)からの引用です。
「裁判員裁判で初の全面無罪判決を受けながら、2審で逆転有罪となった覚醒剤密輸事件の被告の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築(かねつき)誠志裁判長)は13日、裁判員制度の導入を踏まえ、「2審は1審と同じ立場で審理するのではなく、事後的な審査に徹するべきで、1審判決が不合理な場合にだけ破棄できる」との初判断を示した。
その上で、2審判決を破棄した。
無罪が確定する。
裁判官5人全員一致の結論。
2009年5月の裁判員制度導入の際、控訴審に関する法律の規定は変更されなかったが、今回の判断は1審判決を尊重する姿勢を高裁に求めており、刑事裁判のあり方に大きな影響を及ぼしそうだ。
相模原市の会社役員安西喜久夫被告(61)は09年11月、覚醒剤約1キロの入ったチョコレート缶3個をボストンバッグに隠してマレーシアから成田空港に持ち込んだとして、覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などで起訴された。
公判では「土産として預かり、中身は知らなかった」と無罪を主張し、薬物を運んだ認識の有無が争点となった。
1審・千葉地裁は10年6月、一貫して薬物の認識を否認しており、被告の弁解も信用できなくはないとして、無罪とした。
一方、昨年3月の2審・東京高裁判決は「被告の捜査段階の供述は変遷して信用し難い」と逆の見方を示し、懲役10年、罰金600万円を言い渡していた。」
裁判所のホームページにも、掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81993&hanreiKbn=02
偽造パスポートと一緒に、覚醒剤の入った缶を渡された被告人が、缶の中身を本当に知らなかったのかどうかは、神のみぞ知るところですが、最高裁が弁論期日を指定していましたので、逆転無罪の結論自体は予想されていたところです↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/236232315.html
刑事裁判において、2審が事後審であることは、裁判員裁判に限ったことではありませんが、実務的には、必ずしもその通りの運用がなされていないように思います。
地裁で長い年月をかけてようやく無罪判決を勝ち取ったのに、高裁が簡単に逆転有罪判決を下し、しかも、その理由も甚だお粗末という弁護人の嘆きは、良く耳にするところです。
しかし、その逆、すなわち一審有罪が簡単に逆転無罪になったという話は、聞いたことがありません。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ