以下は、YOMIURI ONLINE(2012年2月6日)からの引用です。
「賃貸住宅を退去する際、部屋の汚れの清掃や修繕にかかる費用負担を巡って、家主とトラブルになることがある。
まもなく年度末の引っ越しシーズン。
「費用負担の基本ルールを知っておこう」と専門家はアドバイスする。
引っ越しで退去するとき、預けていた敷金は家主から返金される。
ところが「部屋の掃除・修繕費」として高額な料金が請求され、敷金から差し引かれることがある。
国民生活センターによると、「ハウスクリーニングやクロス張り替えで、家主から敷金を上回るほど高額な料金を請求された」といった相談が後を絶たないという。
「原状回復トラブル」「敷金トラブル」と呼ばれるこうした相談は、全国で1万6290件(2010年度)にも上る。
トラブル防止のために、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成している。
それによると、「普通に暮らして生じる汚れや傷」「建物が古くなってできた傷み(経年劣化)」の修繕費は家主の負担。一方、不注意で生じた傷の補修や落書きを消すための費用などは借り主の負担だ=別表=。
東京司法書士会で消費者問題を担当する大冨直輝さんは「この指針に法的な拘束力はないが、参考になる」と話す。
退去時には、具体的にどんなことをすべきだろう。
まず、出来る限り家主や不動産会社の担当者に立ち会ってもらい、部屋の状況を一緒に確認することだ。
引っ越しで荷物を運び出した後、修繕が必要な部分など部屋の状態を写真に撮って残しておくと、万が一後日トラブルになった際に役立つ。
大冨さんは「修繕費の明細を記した見積書や精算書などを出してもらい、内容をよく確認しよう」と勧める。
こうしたトラブルは「退去時の問題」と思われがちだが、実は入居時からしっかり対応しておくことが大切。
入居時に部屋の傷や汚れの状態を写真に撮り「入居前からすでにあった」として貸主や不動産会社へ報告しておけば、退去時にトラブルになりにくい。
また、賃貸契約をする時に、〈退去時、借り主がハウスクリーニング費用を負担する〉などといった「特約」を結ぶケースがある。
具体的にどの程度の費用負担になるのか、家主や不動産会社に確認しておくことが必要だ。
日本賃貸住宅管理協会理事、関輝夫さんは、「基本的なことだが、契約書をよく読んで疑問は解決し、納得したうえでサインする。他人のものを借りているという認識を持って、丁寧に住めば、修繕費用も安くすみます」と話す。
トラブルになった場合、自治体の消費生活センターや各地の司法書士会などが相談に応じている。
◇国の指針に示された修繕分担例
【家主負担になる例】
・家具設置でできた床やカーペットのへこみ
・壁のクロスや畳の日焼けによる変色
・テレビや冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(電気やけ)
・鍵の取り換え(破損、紛失がない場合)
【借り主の負担になる例】
・喫煙によるクロスなどの変色や、においの付着
・カーペットに飲み物などをこぼしたことによるシミやカビ
・引っ越し作業で生じた傷
・壁のくぎ穴、天井に直接つけた照明器具の跡
・日常の掃除を怠ったことによる台所の油汚れ
・落書きなど故意の損傷」
間違っている訳ではないですが、誤解しそうな内容ですね。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、↓からアクセスすることができますが、上記の【借り主の負担になる例】であっても、家主にとっても、新品になるというメリットかあるので、減価償却分は負担する必要はありませんし、平成23年8月の再改定により、減価償却期間を経過している場合には、負担は実質ゼロということもあり得ます。
http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000060.html
退去時、借り主がハウスクリーニング費用を負担するなどといった「特約」も、実費以上の金額を定めていれば、消費者契約法により無効だと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ