以下は、YOMIURI ONLINE(2012年2月2日)からの引用です。
「名古屋市の男性(70)が父親の遺産相続を巡って起こした訴訟の控訴審で、名古屋高裁(長門栄吉裁判長)が、未婚の男女の間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、法律上の夫婦間の子(摘出子)の半分だとした民法の規定について、条件付きで違憲とする判決を言い渡していたことがわかった。
判決は昨年12月21日付で、すでに確定している。
この規定については、最高裁が1995年に合憲とした一方、96年には法相の諮問機関である法制審議会が、規定の撤廃などを柱とする民法改正要綱を答申。
昨年には大阪高裁が違憲判断を示すなど、法曹界でも見解は割れており、名古屋高裁判決が議論を呼ぶ可能性がある。
判決によると、男性は1942年に非嫡出子として出生。
父親は翌年、母親とは別の女性と結婚し、その女性との間で嫡出子が生まれた。
父親は2004年に死亡。
男性は07年に起こした訴訟で「規定は法の下の平等を定めた憲法に違反しており無効で、嫡出子と同じ相続分がある」と主張していた。
判決はまず、「民法は一夫一婦制を根幹とする法律婚主義を採用しており、相続で嫡出子を優遇している規定が著しく不合理とはいえない」と指摘。
しかし、今回のようなケースでは、非嫡出子が生まれた時点では優遇すべき法律婚や嫡出子が存在しないことから、その後に生まれた嫡出子との間に生じる差別に合理性を認めることは困難だと判断した。
さらに、規定制定時と現在とでは、家族関係に対する国民の意識や婚姻関係の実情は大きく変化し、男女の共同生活のあり方も事実婚や非婚など一様なものではなくなっていると言及。
「父親が死亡した2004年当時には、親が一度も結婚したことがない状態で生まれた非嫡出子に規定を適用するのは憲法に違反し、無効だ」と結論づけた。
1審・名古屋地裁豊橋支部は昨年6月、規定に沿った遺産分割を命じていた。 」
昨年8月24日の大阪高裁決定の全文に触れることができないのですが、報道を読む限りでは、条件付きで違憲という訳ではなかったように思います↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/228728580.html
今回の名古屋高裁によると、未婚なら同じ相続分だけど、浮気相手だと半分ということになります。
離婚後に、再婚せずに生まれた子供も、半分ということになります。
生まれた子供には何の落ち度もないのに、そして、おそらく大変な思いをして生きてきたのでしょうに、どうして差別されなければならないのか、私には理解できません。
それにしても、本件は、父親の死亡が2004年、訴訟提起が2007年、判決確定が昨年2011年末、父親の死亡から実に7年以上が経過しており、生まれた子供も既に70歳。
早急な立法的解決が必要だと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ