以下は、YOMIURI ONLINE(2012年1月16日)からの引用です。
「国歌の起立斉唱命令に従わず、東京都教育委員会から懲戒処分を受けた公立校の教員らが、都に処分の取り消しと損害賠償を求めた3件の訴訟の上告審判決が16日、最高裁第1小法廷であった。
金築誠志裁判長は戒告処分は妥当とする一方、「過去数回の不起立のみで停職・減給とするのは、処分による不利益の大きさを考慮すると重すぎて違法」との初判断を示し、停職1か月の元教員女性(61)と減給10分の1(1か月)の元教員女性(61)の処分を取り消した。
一方、戒告の教員ら計168人と国旗掲揚の妨害行為があった停職3か月の元教員女性(61)への処分は妥当とし、請求を棄却。
停職を取り消した元教員だけは損害賠償請求の審理のため高裁に差し戻し、それ以外の原告の判決は確定した。」
裁判所のホームページに、早速、全文が掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120116162214.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120116143405.pdf
昨年5月30日の最高裁判決↓では、起立斉唱を指示する校長の職務命令は憲法19条に反しないとされ、不起立を理由に退職後の再雇用を拒否した東京都の処分取り消しや損害賠償は認められないとされた訳ですが、今回の判決は、現職の学校の先生に対する懲戒処分に関するものです。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110530164923.pdf
学校の先生にも、思想・信条の自由があることは勿論ですが、生徒の子供達に、「起立せよ」「斉唱せよ」と言っておきながら、先生が起立斉唱しないというのでは、教育上良くないことも当然です。
子供の入学式や卒業式に参列すると、、「ご起立下さい」と言われますが、生徒や保護者が起立しているのに、先生達が起立しないとしたら、異様な光景だと思いますし、組織の中にいれば、自分自身は腑に落ちないことでも、上司からの命令には逆らえないという場面は、多々あるのではないでしょうか。
今回の最高裁判決に対する評価は分かれるところでしょうが、私自身は、何のおとがめもなしは論外ですが、簡単に停職・減給とするのもいかがなものかと考えていましたので、穏当な判決だと思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ